rehabilitation

□cake philosophy
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可愛い可愛い君は僕なんかよりもケーキのいちごにご執心。




[cake philosophy]




キラキラと輝く瞳は明らかに帥仙の手にあるショートケーキを狙っている。
「…何だよ」
「いちご」
短く発した言葉だったが、帥仙は墨蓮の意図を余す所なく読み取った。
「…誰がやるか」
帥仙だって好きなものは好きなのだ。やる訳が無い。
「え〜」
墨蓮は不満そうに帥仙を見るが、いちごのケーキよりも季節外れのブッシュドノエルを選んだのは紛れも無い墨蓮自身だ。
帥仙だって、モンブランのマロン程いちごと等価価値のあるものと交換であれば、考えただろう。
しかし、ブッシュドノエルにはそんなもの飾りの偽柊くらいしかない。
買った後に相手の物が羨ましくなるのは良くあることだが。
ここでいちごをあげることは、墨蓮の教育に悪い。先輩として、そのくらいは気にするべきだと思うのだ。
いちご食べたいし。これが最重要である。


帥仙は墨蓮の視線を払拭しようといちごにフォークを突き刺した。
ちらりと墨蓮を見やると

泣きそうに歪んでいる。


(大丈夫だ!もう高校生なんだから!)


しかしその表情は悲痛だ。

「───……」




帥仙は墨蓮の皿にいちごを乗せた。




「わぁ!ありがとうございます!」


嬉しそうにいちごを頬張る墨蓮を見ながら帥仙は思った。
(…俺って甘いよなぁ)







代わりに偽柊を貰ったが、墨蓮がくれたと思うと少し嬉しくてでもそれが悔しかったりで色々複雑な帥仙だった。


(…次は厳しくしよう)



それは無理だと墨蓮は知っている。


◇終◇
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