いわゆる「ヒステリー」は、正式には「転換性障害または解離性障害」と呼ばれ、患者は腕や脚の麻痺(まひ)や体の一部の感覚が鈍くなるという症状を訴えるものの、何ら医学的原因が認められない病態を指す。
これが架空の症状ではないということがカナダの研究グループにより示され、米医学誌「Neurology」12月12日号で報告された。

この研究は、転換性障害の症状をもつ女性3人について、脳の画像スキャン技術を用いて脳機能障害の証拠を探したもの。
3人は左手または左足の麻痺を訴えており、研究チームは麻痺した部位への刺激に対する脳の反応をMRIで観察した。
いずれの女性も、麻痺した部位を刺激しても、触覚に反応する脳の部位である体性感覚野が活性を示さなかった。
ところが、麻痺した手足ともう一方の正常な手足を同時に刺激すると、脳のこの部位が反応を示したという。

麻痺した手足と正常な手足を同時に刺激したことにより、注意散乱が生じ、患者の注意の向きが変わって、神経伝達の阻害が免れたのではと考えられるという。

研究を行ったSunnybrook健康科学センター(トロント)のOmar Ghaffar博士は、今後はこの知見に基づいてさらに多数の被験者および健常対照者の画像検査を行う予定だという。
さらに、転換性障害における注意散乱の役割について調べる研究も進行中とのこと。

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