記憶の破片
□罵声と謝罪
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ワンコが病院で目を覚ました時、俺は喜びがいっぱいで気付かれへんかった
ワンコの目と声が
……記憶が……
―罵声と謝罪―
「耳が聞こえるなら、一回だけ手を握って下さい」
医者がそう言うと、ワンコの手に力が篭るのが解った
耳は無事なんや……
「解りました…では、声は出ますか?」
「…………」
医者に伝えるよう、ゆっくりと首を横に振る…
まずは…声。
「では…目は見えますか?」
「…………」
先程と同じ動作で、首を横に振る……
次に…目…
「……この匂いは…解りますか?」
「……」
医者がビンを近づけると、少し顔を顰めながらも頷く
鼻に異常は無い……
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