記憶の破片
□罵声と謝罪
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「じゃあ、最後の質問です」
医者の声が響くと同時に高鳴る心臓…一番重要な質問……
「貴方は…目覚める前の記憶がありますか?」
「…………ッ」
悲しそうに顔を歪めて、申し訳ないとばかりに首を横に振った
…記憶が…
「いや…イヤやぁぁあああ!!!」
「君っ……!?」
記憶が無いっちゅー事は…俺の事も覚えてくれてへんって事やんか!!
俺は覚えてんのに…っ!!
俺は…想ってんのに……ッ!!
「イヤや!!ワンコぉ!!俺やんか…佐野清一郎やんかぁ!!」
「っ…………」
「ワン……こ…ぉ!!」
いくら叫んでも…いくら泣き喚いても、抱き締めてすらくれへん……
気ィ使うような言葉で…慰める事すら……してくれへん…
「ッ見て…や……俺を…!!」
優しく笑いながら…いつもと同じように……ッ俺を見つめてくれや…っ!!
「お願……やか…らぁ…!!」
「…………」
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