記憶の破片
□罵声と謝罪
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原因は…痛いくらい理解しとる
俺が何の気なしにワンコを散歩に誘った…真夜中の星空をワンコと見たいだけの為に
それだけの理由やのに
たった、それだけの理由やったのに……
たまたま俺に目ぇ付けた浮浪者が、ワンコに襲い掛かって…ゴツイ石を頭に向かって何度も叩き付けおったんや
俺はワンコを守ろうと、必死でワンコを抱き抱えた
やのに…ワンコはそれでも俺を庇って……何度も叩き付けられる石に耐えてた
『いややっ…ワンコ!!イヤやぁあッ!!』
痛くて堪らんはずやのに……
俺から離れたら…自分だけでも助かる事が出来んのに……っ!!
『がん…ばって…佐野君……!!頑張って……!!』
"俺から離れて"
"お前だけでも、生き延びてくれ"
いくらそう叫んでも、ワンコは抱き締める力を緩めてくれる事は無かった……
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