銀魂

□好きなんて
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「隊長、隊長!聞いてんのか〜」
「んー聞いてる」
「いや絶対嘘だろ」

我が隊長に向かって話し掛けるが、何を言っても上の空。いつものニコニコ顔すらしていない。怪訝に思いながらも、大人しくしていてくれるなら問題ないとばかりに話を進める。

「隊長、春雨の幹部から通達が」
「阿伏兎」
「…なんすか〜」
「恋ってなに」

たぶんこのときの俺はそれはそれは間抜けな顔をしていたはずだ。開いた口が塞がらないとはこのことだろうか。笑うことを通り越して驚いてしまう。あの喧嘩狂の隊長さんが、恋だなんて。

「…隊長、鯉ですか?」
「阿伏兎話聞いてた?恋だって」

話聞いてないのはどっちだ。
しかしいまの隊長に向かってそんなことを言ったらまた機嫌を損ねてしまうやもしれない。

「恋ね〜…なんと言いますか。同じ人のことばかり考えたり、そいつとずーっと一緒に居たいって思ったりすることっすかね。あ、あと嫉妬したり」
「嫉妬?」
「そ。気に入ったやつが自分じゃない誰かの近くにいることが許せない気持ちのこと」
「ふーん…」

一通り説明したけど、隊長の怪訝そうな表情は変わらないまま。だいたい恋愛なんて考えたことないっての。こっちが困っちゃいますよ。


「阿伏兎、ちょっと用事思い出した」
「え」

目を見張ったときにはもう神威の姿は眼前から消えていた。

「勘弁してくれよ〜…」
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