小説ですよ、アザゼルさん
□私ね、
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「ベルゼブブさん、私ね、今度結婚するんですよ」
彼女は私に会うなりそう言った。
嬉しくて早く聞いてほしかったのであろう。現に頬が紅く色づいて林檎の様だ。
「…そうですか、よかったですねえ。契約関係という義理から一応祝福はしてさしあげますよ。」
彼女の顔を見ないでそう言う私の姿は、どのようにその透き通った瞳に映っているのだろうか。
あなたは鈍感だから、きっと変化に気づかないでしょうね。
「一応ってなんですかもー。素直じゃないんですから」
そう言いながら生贄のカレーを差しだしてくる彼女。
カレーの味は相変わらず素晴らしいのに、あまり良い心地がしないのはなぜなんでしょうね。
あまり聞きたくないですけれど、予想もつきますけれど、一応聞いてあげますよ、契約関係という義理から、ね。
「…さくまさん、お相手の方は…」