fairy tale

□04
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「やだぁ、コイツ盗み食いに食堂入ったらしいわよ!」


「最低ね!」


「みっともない女!」





誰もが口々に私を罵った。





みんな知らないでしょ。


私がアンタ達の大好きな、私の大好きな団長を救ったんだよ。





拳を握りしめ、歯を食いしばって、立ち上がった。



もう、私にできることはない。
私はちゃんとやりとげたんだ。



どこか、一人になれるところ、誰もいないところにいきたい。






重い体を引きずって、階段を上がる。



突然、苦しくなった。
込み上げてきた熱い何かが、体の中をひっかき回すように上ってくる。


堪えきれなくなって吐き出せば、真っ赤な血。



むせる私の姿を、通りがかる雑用や団員は驚いたように見つめている。悲鳴を上げる子もいる。






急に怖くなった。




私はざわめく人々から逃げるように階段を上った。

別に誰も追いかけてなんかこない。誰も気にかけちゃくれない。

いつだってそうでしょ。










辿り着いた最上階はいつもの様に静かだった。



よかった、誰もいない。





苦しくなる肺、痛む体、ぐらつく頭。
とにかくあの椅子に座ろうと、体を引きずったけど それも叶わず、手前で膝をがくんとついて倒れてしまった。






動かない。



足も手も、動かそうとしても動けない。




きっと毒のせいだ。





よかった。
団長がこんなことにならずに済んで。






私は笑った。
笑ったら、何故か涙が出た。








視界がぼやける。



意識が薄れてく。









あぁ、私は最後まで一人ぼっちだ。





to be continue...
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