fairy tale
□05
1ページ/2ページ
堅苦しい挨拶も終わって、いよいよご飯にありつけるという時に、広間の扉が蹴破られた。
「皆様、お待ちください!食事会は中止です!」
運ばれた料理を目の前に、それはないだろう。
不機嫌になった俺は、何かと扉の方を見る。
「なんだ、どうした」
阿伏兎が聞く。
「先程、不審な動きをする者共を捕まえ問いただしたところ、毒殺を謀って毒入りのものを食事に混ぜたと白状しまして」
辺りがざわめいた。お偉いさんがたは、パニックみたいだ。
こりゃ、春雨のメンツも潰れたな。
「林檎に混ざっているそうです、誰か食べられた方はいらっしゃいますか?」
下っ端の団員は汗だくになって言っている。大変だね。
あ、やべ、俺が今食べようとしたのその林檎じゃん。
危ない危ない。
「オイ、わし 林檎食べちまったぞ!」
どこぞのお偉いさんが俺の隣で焦り始めた。
下っ端団員はすぐかけよってきて、お偉いさんが食べ残した林檎の芯を見る。
「あぁ、大丈夫ですよ。毒入りのはヘタの付け根がねじれていると言っておりましたから」
聞いたことある。
どっかの星でとれる、毒リンゴだ。そっくりだから、見分けるポイントはヘタとかなんとか言ってたっけ。
「ん?その林檎なら見たな俺」
後ろでボソリと呟く声。
振り向けば、料理を運んできた団員。
なんか面倒くさくなってきた。
俺は巻き込まれる前に、と席を立った。