fairy tale
□06
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艦内中を走り回った。
でも どこにもいない。
もしかしたら、なんて嫌な考えが浮かんだ。だって十分あり得る話だ。
でもどうか、まだ生きていてほしい。何かの間違いであってほしい。
胸が痛い。肺が苦しいわけじゃない、心臓がおかしいわけじゃない、心が痛いんだ。
早く俺が見つけてやらなくちゃ。早く俺が助けてあげなくちゃ。
じゃないと、なまえはずっと一人ぼっちのままだ。
その時、ふと思い出した。
まだ探してない場所がある。前になまえが泣いていた東側の最上階だ。
きっと、いや絶対あそこになまえはいる。
階段を登るにつれて、どんどん気温が下がり寒くなっていく。
いつもこんなところでなまえは泣いてたのかな。
そう思ったら、もっと胸が苦しくなった。
息を弾ませ、登り切った最上階に 探していたなまえの姿。
「なまえ!」
名前を叫んだ。
でも うつ伏せに倒れたなまえはピクリとも動かない。
「なまえ、しっかりしろなまえっ」
抱き起こして揺すったけど、やっぱりなまえは動かない。