shangrila short

□君ルール
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騒がしい春雨の朝。

私は、廊下を行き交う団員に混じって 昨日から手付かずの書類を抱え、ダラダラ歩いていた。

その人混みの中でも一際目立つピンク頭が向こうの方にチラリと見えた。

どんどん距離が縮まり、お互いの顔が見えるまでになった。

ピタリと目が合うと、ピンク頭の人物は片手を上げて足早に近づいてきた。

なんだその清々しい笑顔は。


「小夜、仕事だヨ」

「……おはようございます!昨日はよく眠れましたか?」

「うん、はいこの書類よろしく」

「今日もいい天気ですねぇ!お散歩日和ってこの事か〜」

「なに寝ぼけてんの。宇宙に天気もなにも無いでしょ。てか受け取れヨ書類」

「団長、今日も素敵ですね‼」

「知ってるヨ。ねぇ いつまで話逸らしてるの。喧嘩売ってる?」

「……いや、だってソレ団長の仕事じゃないですか」

すると団長は 、そうだけど?と首を傾げて笑った。

何で疑問符付けてんだチキショー。

「何で私が…」


「何でって、俺の仕事は小夜の仕事、小夜の仕事は小夜の仕事でしょ?」

「達の悪い暴君?」

「ほら、俺 団長だから」

「いや、意味分からないです」

「兎に角 頼んだよ小夜。俺、朝からスケジュールみっちりで忙しいんだ。じゃね」

「……」

そのまま、真っ直ぐ食堂に向かう団長。
どこらへんが どう忙しいのか簡潔に述べてみろよ。
スケジュールって何。
午前中なんて どうせ昼まで朝食とり続けるだけだろ。
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