shangrila short
□昼下がりに、
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昼下がりに、
「コッチ向いてヨ〜」
「はい?うぶっ、何すんですか!」
「あはは、変な顔〜」
振り向いた瞬間、アッパーカットを食らった。
「やっぱり可愛いネー」
「女の子を殴って言うセリフですかソレは!」
「…隙ありぃ!」
ばさっ、
「きゃぁああああ!変態!馬鹿!団長の馬鹿!」
いきなりスカートの裾をめくられた。
必死で押さえつけるが、団長は もう見ちゃったよギンガムチェック、という。
俺的にはレースのヒラヒラが好みだから宜しく、じゃねーやい!だれがはくかそんな見せ下着!!
「あ、枝毛みっけ」
「ちょ、人の髪 勝手に触らないでください!」
「だって髪の毛こんなに長いんだもん。全部抜けちゃえ」
「いだだだだだ!ちょ、ハゲるハゲる!頭皮ごと持ってく気ですか!」
力任せに髪の毛を引っ張る団長は、容赦なく私を廊下に引きずっていく。
「ちょ、マジ放して下さい!」
「はは、お散歩お散歩ー」
こんな格好で艦内歩き回るとか恥ずかしすぎる。顔から火炎放射が出る程に恥ずかしい。
団長の魔の手からなんとか逃れようとするが、今度は私の髪から手を放したかと思うと、いきなり体に巻きついてきた。
今は、逆に団長を引きずるような形で廊下を歩いている。
これもこれで恥ずかしすぎるんだけど。
「放してくださいよー、ってどこ触ってんですか!」
「ん、胸だけど?安心したヨ。結構あるじゃん。Dカップ?」
よく分かりましたねー、なんて言うわけないだろ。
軽く蹴飛ばせば、右手首を変な方向に捻られた。
「ぎゃああああああ!、このっ」
ユラユラ揺れる団長のアンテナを引っ張ろうと伸ばした腕に、なんと団長は噛み付いた。
「柔らかいね、」
遠回しにデブって言いたいんだろうけど、ソレ遠回しになってないからね。
「でも俺、二の腕より太もものが好きだヨ」
聞いてもいない好みを喋る団長の ちゃっかり太ももを触る指を叩いた。
「何すんの、セクハラ」
「いやソレあなたですから!私は団長の手の甲叩いただけだし。ソレはセクハラとは言いません〜」
「生意気だネ、イジメちゃうぞ」
「もう既にイジメてるじゃないですか。何でいつもいつも私ばっかり意地悪するんですか」
そう言ってちょっと睨んだら、団長はニヤリと怪しく笑った。
妖しくではなく、怪しく。
何だよこの人、完全にいじめっ子の顔してんよ。
「ねぇ、知らないの?」
「は?何がですか」
と聞き返したら、身体に巻き付く団長の手が更に力を増し、締め付けてきた。な、内臓出ちゃうよヘルプ。
「俺はいじめっ子なんだヨ?」
「はい、知っでばず、うぐぐ」
「だからネ、」
ふっと体を締め付ける力が弱まったかと思うと、突然 右側の髪が団長の手によってかきあげられ、すぐ耳元に息がかかる。
「な、何を」
「好きな子のこと苛めたくなっちゃうんだよネ、」
そう耳を疑う様な台詞を吐いた団長は、大袈裟なリップ音を立てて私の耳にキスをした。
電撃でも走ったかのような感覚が身体中を駆け巡り、私は身動きがとれなくなった。
何だコレ、何だこの気持ち、何だ今日の団長、変。
「あり、もしかして もしかしなくても 脈有り?クス、」
上気した私の頬にまた 柔らかなキスが落ちた、昼下がり。
fine.