shangrila short

□これが日常。
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プルルルル


がちゃ、

「あ もしもし、団長?」

『………お留守番サービスに接続します。ぴーっと鳴りましt「オイふざけてんじゃねぇぞ。まるっきり団長の声だから。そんなんじゃ騙せないから」

『ちっ、バレたか〜』

「ったりまえじゃないですか。それで、どこですか今」

『え?…えーっとネ、団長室だy「嘘つけ。今 私が団長室にいるんですよ?どこにも団長いないじゃないですか。潔く白状してください。吉原に居るって」

『やだなー。居ないヨそんなとこには』

「嘘言っても駄目ですよ。お見通しですからね」

『酷いなぁ 信じてヨー』

「阿伏兎さんから団長を甘やかすなって言われてるんです。団長がワガママ放題になると困るから」

『残念、もうなってるヨ』

「自分で言うなや」

『俺の事、大好きなんでしょ?』

「いや何でだいきなり。会話の流れ変だろ」

『こんな夜に電話してくるから、愛に飢えてんのかと思って』

「要りませんよ、そんな言葉は。とにかくとっとと帰って来てください」


がたん、


「あ、もう夜の10時じゃないですか!」

「そんなに寂しいの?じゃぁ、慰めてあげるね体で」

「ちょっと話聞いてくださいよ。仕事しろって言ってんです私は。いつまで遊んでるんですか」

「そんな怒らないでヨ。ちゃんとお土産あるからさ」

「吉原で買ったお土産でしょ。アレですかアレだろどうせ。チョメチョメなんだろ」

「江戸で買ったから、安心してヨ」

「団長の買ってくるものに安心なんかできません」

「失礼だなー。にしても、髪の毛伸びたネ。結ってもこんなに長い」

「(こんなに…?)あ、ハイそうですね」


言われて、自分の髪に触れてみた。と同時に重なる大きな手。

振り向く前に首に絡まった腕に、首から上の自由を奪われた。


「ただいま」


降ってきた声は、耳に当てられたケータイからの声と同じ。
いつからそこにいたのか。こんな近距離で電話してたなんて馬鹿みたい。


「な、団長いつから!」

「えっと、そんなに寂しいの?って俺が言ったところから」


あぁ、がたん、って 団長が部屋に入ってきた音か。なんであの時振り返らなかったんだろ。


「それより 長い髪には、」


未だ後ろを振り向けないまま、何か硬いものが地肌を擦って髪にとまった。


「ホラ、髪飾りがよく映える」


お土産って髪飾りだったんだ。
ベタかもしれない、でも団長ではあり得ないようなチョイス。


「嘘ついてないヨ。ねぇ、俺 吉原なんか行ってないもん」


「……すみませんでした」


「ん。じゃ 寂しがりな部下を慰めちゃおうかな「あ、結構です」





これが日常。

(ケチケチしないでさ、ね?)
(し・ご・と・し・ろ)

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