melancholy short
□愛は死んだの?
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「それじゃ、行ってくるネ」
嘘つき。
今日は任務なんか無い癖に。
「いってらっしゃい」
でも私はいつだって笑顔で送り出す。
だって、執着したら私なんか捨てられる。ただでさえ戦力にもならない人間の私は、所詮"お荷物"でしかないから。
ここに居られるのが まさに奇跡。
それだけで満足でしょう。
団長を見送った後 横にいた阿伏兎さんが、
「最近 任務が多いから、団長も大変だな」
なんて、空々しい事を言う。
気を遣ってくれてるんだろうけど、今は愛想笑いもしてあげられない。
無言で俯いたままでいると、阿伏兎さんは居心地が悪くなったのか それじゃぁ、と言って居なくなってしまった。
残された私は ただただ唇を噛み締めて床を睨んでいた。
泣いちゃダメ。
一体 何度自分に言い聞かせてきただろうか。
いつからか団長の口から聞かなくなった"愛してる"の言葉。
それでも私は隣に居座り続けようと必死になった。
まだ私達の間には繋がりがあると信じて。
それはいつも変わらない。
今日も同じ。
だから 団長が帰ってくるのを、いつまでだって待ってる。
相部屋に戻って 2人掛けのソファーに腰掛けた。
帰ってきたらなんて声をかけよう。
何を話そう。
そんな事で頭が一杯だった。