melancholy short
□Dolly Eyes
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分厚い雲が空を覆い尽くし、光が遮られた朝。
「いい天気だネ」
と横で団長が嬉しそうに笑った。
「そうですね、傘を差す手間が省けますし」
そう答えれば、団長はウン と頷いて歩きだす。
わたしも団長に遅れまいと、その後を小走りで追った。
「なに。アンタも来るの」
「は、はい。任務なので」
「いいよ今日はアンタ休みで」
「いえ、そういうわけにもいかないんです…」
「仕方ないなー。じゃぁ俺の邪魔だけはしないでネ。もしも邪魔したら…」
殺しちゃうから、と言い放つ団長。
珍しく開かれた瞳は ハッとするような深い青。
久しぶりに見たな、なんて思っていれば、なに笑ってんの と団長が言う。
確か、云業さんもそんな理由で団長に殺されちゃった。
例え私が女でも 団長は云業さんのときと同じように私を殺すんだろう。
怖い、とかじゃなくて 哀しい。
肝に命じておきます、と答え 団長と別れた。
団長と合流する頃には、殆ど敵は残ってないだろう。なんせ団長は強いから。
暫くして 前方から敵が押し寄せてくるのが見えた。
傘の柄を握り直し、思い切り地面を蹴れば 一瞬で敵の中に突っ込む。