melancholy short
□Adieu
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「また他の子と遊んだの?」
「うん、それがどうかした?」
どうかした?、じゃないよ。
私はあなたの彼女なんじゃなかったの?
「ねぇ、どうして?」
「なんだよ、小夜には関係ないだろ」
「関係なくなんかないよ!私は神威の彼女なんだから「あー、ホント煩い。嫌なんだよね そうやって執着してくるのとか」
乱暴にマントを脱ぎ捨てる神威。
突っ立ったままの私。
「酷いよ」
そう呟いても、神威は無視してソファーに座り込んだ。
「お願い、もう他の子となんか会わないで」
すがるように言ってみたけど、相変わらず神威は黙っている。
「もし 次 神威が他の子と遊んだら、」
言いたくないけど 言わなくちゃ、きっと神威はやめてくれない。
「私、神威と別れるよ」
そう言うと、流石の神威も チラリと此方を見た。
「…俺と別れる?」
「うん、次 遊んだら」
「…あっそ。好きにすれば」
素っ気ない答え。
ぶっきらぼうな神威だけど、ここまで言えば やめてくれると信じてた。
私は彼女なんだから、愛されてるんだから、当たり前だと 思い込んでいた。
数日して、神威の部屋に行った。
開けた扉の向こうは真っ暗。
神威はいなかった。
もう時刻は深夜過ぎ。
今日は任務なんか入っていない筈。
だとしたら神威が向かった先なんてただ一つ。
私は気づいた。
私は愛されてなんかいなかったんだと。
私なんか要らないんだと。
彼女なんか嘘なんだと。
すべては勘違い。
長い、長い夢を見てた。