melancholy short

□蟲惑の蒼眼
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(※R18 裏苦手な方は超逃げて。)








「小夜、遅かったネ」


「か、神威さん…?」



夜遅くにアパートに帰ったら、居る筈のない人が部屋で待っていた。



「久しぶり。随分キレイになったからビックリしたヨ」








1年前、この男から逃げた私。
あの頃は 思い出すだけでも吐き気がしそうなくらいの事をされていた。
大嫌い、こんな男。





「ちょっとは嬉しそうな顔したら?折角迎えに来てあげたんだからさ」


「どうして…何でこの場所が分かったんですか?」


「ふふ、春雨の情報網を舐めちゃいけないヨ」



妖しく笑うと、一歩一歩私に近付いてくる。

また捕まる。捕まったら最後、またあの悪夢の毎日だ。


たまったもんじゃない、私は背を向けてアパートを出ようとしたが、遅かった。


取っ手に掛けた手は上から掴まれ、少しも動かすことができない。
しまった、と思った時には既にドアと男の間に挟まれ、腰に腕が回されていた。



「神威さんっや、やめっ」



ザラザラとした舌が首を這う。フラッシュバックで蘇るあの頃の記憶。


背中にピッタリと密着した体から伝わる温度、体を探る手つきに熱い感覚も一緒に蘇った。



チクリ、と甘い痛みが首に走り、同時に離された唇が耳元に寄る。



「もっと喜ばしてあげる」



元から溜め息混じりな声が、余計に妖艶に耳をくすぐる。
思わず跳ねた身体に、クスリ といたずらっぽく笑ったのが分かった。



駄目だ、駄目だ。


そう思えば思うほど、感情が膨れて何も頭に浮かばない。



腰に回されていた手は次第に上へと移動してきて、胸を優しく揉みしだく。



抵抗しようと上げた声は、妙に高くて自分の声だとは思えない程、気持ち悪い。
でも、聞いた事のある声。あの頃、毎日上げていた自分の声だった。



「いい匂い、変わらないネ」



引き剥がされた衣服は床に放り捨てられ、下着のみになった身体を冷たい手が滑る。



「、やっ、だめっ」



「素直じゃないのは、相変わらずだネ?小夜」



そう言うなり、敏感になった部分をなぞる神威さんの指。



「ホラ、コッチはこんなに素直なのに」
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