icebound shangrila

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未だかつて経験したこともないようなフォークの雨を浴びながら 室内をドタバタしているうちに、誰かが部屋に入って来た。


振り返ってみると そこにはモサいオジサンがあきれ顔で立っていた。


てっきり新手の真の雑用係かと思い、追い出そうかと戸惑ったが 今の状況となっては、雑用係の座なんか今すぐかなぐり捨てて譲ってやりたいくらい。



え、てかコレ雑用係?
すごい疲れてる、病んでんじゃねこの雑用係。ヤバくねオイ。
何でこんなん雇ったんだよ。絶対使えねぇよこんn「オイ団長、いい加減にしろよ。うっさいんだよドタバタドタバタと」


団長?え、誰のことソレ!
私 学校では会誌委員長だし団長じゃねーし。


「だって、この雑用係ちょこまか逃げるからさー」


「お前が手加減してるからだろ」


そら、と言ってオジサンは逃げ惑う私の襟首を掴んだ。


そしてそのまま空中でブラブラ。



「く、首イィィ!締まってるウゥゥっ」



ジタバタもがくが、降ろしてもらえない。
オッサン、おめー委員長様に何すんだ!


てか何この光景、生け捕られたサケみたいなんだけど。




「お前雑用係のクセに、何で全身ジャージなんだよ。部屋着だろソレふざけてんのかコラ」


「……」



「阿伏兎、首締まって死んじゃったみたいだよ」


「え、マジ?やべ」


「仕方ないから火葬場に出そうか」


「まだ死んでませんんん!」


勝手に殺すな!そして燃やそうとするな!




床に這いつくばってゲホゴホしていると、またオジサンが話しかけてきた。



「昨日 渡した雑用係用の服 あるだろ?アレ着てないとお前、なんかと間違えられるぞ」



「え、何ですかソレ貰ってませんよ私」


「は?昨日 俺が渡してやったじゃねえか。お前がどうしてもフリッフリのメイド服がいいって言うから」


あ、さっきの女の子が着てたヤツだ。
え じゃぁ自分であれをリクエストしたんだスゲェ。
…じゃなくて、


「………あ、あああ!そうでででしたねっ、あ 失くしちゃった気がする、ウン 失くしちゃいましたソレ!」



「ね?こいつ馬鹿でしょ?腹立つでしょ?殺していい?ねぇ阿伏兎」




「…お前、ちょ 待って、………なんか違くね?昨日 俺んとこに来たヤツ、お前じゃなくね?」



「…ななななな何言ってんですかァ!やだなぁっもう、アブトムシさんたら忘れっぽいんだから!」




「え、何コイツ今なんつった?俺のこと虫ケラ扱いしなかった?」




フルネームで呼んであげたのに、何故かキレ気味のアブトムシさん。





「あの、何でアブトムシさん怒ってんですかね」


ごにょごにょと美男子くんに聞くと、美男子くんは無言で立ち去って行ってしまった。




あれ わたし、何かしでかしちまいましたか。




残された私達はただ立ち尽くしていた。



先に口を開いたのはわたし。




「あの、一つ確認したいんですけど」




「あ?」






「ここって、何処ですか」




「…は?」





「いや、そのー ここって、何処なのかなぁ なんて」




「え?いやいやいや………え?」




「だーから、ここはどこ」
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