icebound shangrila
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思わず私はしゃがみ込んだ。
飛び散った何かの破片が私の背中をビシビシと打つ。
辺りは煙っていて何も見えない。
殴られたのか私?
にしては、どこも痛くない。
「分かった?コレがアンタら人間と、夜兎との違い」
不意に頭の上から団長さんの声がした。
恐る恐る目を開けてみると、真上に団長さんの顔があった。
片手を私の背中にあった壁に突っ込んでる。え、突っ込んでる?どういう事だソレ何が起こってるの。
振り向けば壁は無惨に砕け散っていた。
「え、素手でこの壁砕いたんですか?」
いやいやいやいや、まさかね、
「うん、凄いでしょ」
そう言ってケラケラと笑う団長さんを、口をあんぐりと開けて見ていると 阿伏兎さんが団長さんを叱りつけた。
「んの、スットコドッコイが!船壊す気かお前は!」
部屋の外では 何やらバタバタと騒がしい。
何やらっていうか、多分この破壊音のせいだと思うけど。
「だってー、この雑用の物分かりが悪いからー」
「私のせい!?」
教え方なら他にもあるだろォ!!
当たり前、というような顔で団長さんが此方を向いた。やべぇ、引っ叩きたいよその憎らしい顔。
なんて嘘だけど。
だってこの壁の二の舞になるのがオチなんだろ。
そういうパターンなんだろ。読めてんだよちくしょー。