icebound shangrila
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体中が熱くて痛い。特に背中。
動こうものなら 悲鳴を上げそうなくらい、ギシギシと軋む音が出そうなくらい。
飛ぶよコレ意識飛ぶよ。もはや飛び回るよねネバーランド。ピーラーパン顔負けだよコレ。ティンカーぺルに嫉妬されちゃうかもよコレ。
そっと目を開けてみれば ボヤけた視界に真っ白な天井。
こういう展開が来るって予想ついたけどね、まぁ。
お次はベットの中で、包帯だらけの体、的な。
「って、放置かィイイイ!湿布の一枚も貼られてないんですけどォ!しかもベットじゃねーし普通に床だし!」
「ゴチャゴチャ煩いヨ」
その声は!
軋む体でなんとか振り向けば、やっぱり三つ編みピンクの団長。さっきまで人殺しかけてた団長。私をぶっ飛ばした団長。私が世界一ぶっ飛ばしてみたい人、団長。
「……てか、あれ?私なんで生きてるんですかね」
「知らない」
「え、知らない?いやいやアナタに殺されたんじゃ…あれ?」
「阿伏兎に怒られるし、また雑用探さなきゃいけないし、なんか殺すの面倒臭いし。でも、」
団長はそう一気に言うと、青い瞳を覗かせた。
あの時と同じ瞳。人を殺す時の瞳。
「次 邪魔したら、殺しちゃうぞ」
出たァアア決まり文句出たァ!最後の「殺しちゃうぞ」で首かしげるあたりが、尚更怖ェ!
「そうそう、地球人はそうやって震えてればいいんだヨ」
あ、今のなんか頭きたカチンてきた。小夜ちゃん怒っちゃうぞ。
「…だん、団長は、」
「ん?」
怯えてる、なんて思われたくない。だって、間違った事してる人に負けてるみたいじゃん。私は負けず嫌いなんだよこれでも。
震えてる、だって?ふざけろよコレは武者震いじゃボケぇ。
「団長は、夜兎人は…人殺しとか、当たり前なんですかっ」
「……夜兎人じゃなくて、夜兎族ネ。人殺しなんか当たり前だヨ。言っただろ?血とか見るとウズウズするって」
団長を下からキッと睨んで、精一杯の虚勢を張ったつもりだったけど、やっぱり効果は無いみたい。ホラ、その証拠に変わりのないこの笑顔。
「私の生きていた世界では、人殺しは罪です」
「夜兎と地球人を一緒にしないでほしいな。コッチは柔なアンタらとは違って、傭兵部族なんだヨ」
絶滅危惧種だけどネー、なんていいながらソファーから立ち上がって 自分のベットの方に歩いて行く。
そういえば、ココ 自分の部屋だ。自分ていうか、団長と私の。