icebound shangrila

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「起きなヨ」




ぶぁさっ と言う音と共に掛け布団がはぎ取られた。
一気に冷たい空気に包まれ、私は低いうなり声を上げる。




「早く支度しなって」




何の話だ。お前のせいで寝不足なんだよ分かってんのかソコんところ。そうやってまた私の安眠を妨害し「ぎゃあああ!」




一瞬、浮遊感を体験した後 無様に床に激突した私。



何が起こったのか全く分からないまま四つん這いで振り返れば、団長の清々しい笑顔と そして両腕によって掲げられた、ベッド。
私がさっきまで寝てたベッド。




「なにすんすか」




低血圧なんだよチキショー察しろよ何で人が寝てるベッドひっくり返すんだよ馬鹿。




「仕事だよお寝坊さん」



「は、仕事?」





うぅ、鼻ぶつけちゃったじゃんか。いってー涙出てきた。


ノロノロ立ち上がると 団長はベッドをガタンと下ろした。

あれ、なんだ。ベッド見てなんか思い出してきちゃったよ。
昨日の夜…

そうだよ、昨日の夜に私は……





「うきゃあああああ!」




ずざざーと団長から遠ざかり、自分の服に乱れがないか確認確認。

よかった。ちゃんと着てる。下着も着てる。




「何してんの?」



笑顔を一瞬曇らせた団長が、こちらに近づいてくる。




逃げろ小夜逃げろォオオ!お前ならやれる筈だパンビのようにあの野獣を飛び越えて、ディンカーペルのようにあの窓からキラキラ粉を振りまいて飛び立てる筈な訳ねーだろォ!





「ぎゃあああああ来るなァア!」



「なんなの今日は。いつも以上に煩い」



「き、昨日は、よ、よよよくも!」



「……。なんのこと?」



「わ、忘れたとは言わせませんよ!だいたい、今の間は何なんですか!」



「寝ぼけてんの?別に俺 昨日何もした覚えないけど」



「う、ううう嘘をつけェエエ!昨日無理矢理一緒のベッドで寝かされて「お前なんかと寝るわけないだろ、何気持ち悪い夢見てんの」




うそォオオ!アレ、あのアレ全部夢だったとでもいうのかァ!
まさかそんなまさか!
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