icebound shangrila

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あれから何日か、のんびりとした毎日を送った。


でも、この頃雑用の様子がおかしい。
本人はおそらく隠しているつもりだろうけど、やたら落ち着きがない。とくに、寝る前。


トイレ行きたいの?って聞いたら、物凄い顔して睨んできたし。
本当、女って意味わかんない。ていうか、女とか関係なく雑用の考えてることがわかんない。

もしかしたら、俺に隠し事?
だとしたら許さないけど。



ってわけで、いつもみたいにオヤスミーって電気を消してから狸寝入りをきめこんでいた。


さぁ、早くシッポを出せ子豚。なーんて念じてたら、雑用がゆっくりした動作でベッドから抜け出していく。

どこかに行く気だ。



爪先立ちで歩く後ろ姿は滑稽すぎて笑える。こいつ絶対尾行とか無理だろうな。


雑用が部屋から出てから、俺も追うように気配を殺して部屋を出た。

暗い廊下で時々障害物にぶつかりながら歩いていく雑用。
その10mほど後ろを歩く俺にはまったく気づいてない。

こんなコソコソしてどこ行く気なんだか。

男の部屋?
コイツに限ってそれはないか。


いや、そうかもしれない。あり得なさそうな奴に限ってそういうの有りかもしれない。


なんて思い始めたら、何としてでも突き止めてやろうと尾行が慎重になる。

廊下の角を曲がって雑用の後ろ姿が見えなくなった瞬間、一気に間を詰めてそっと伺う。

雑用はそのままヘロヘロ歩きながらある扉の前で急に立ち止まった。
そして取っ手に手をかける。


男が出てくんのか?
相手は誰?
いつどこで知り合った?


疑問がいくつもいくつも浮かんできた。それと、なんか知らないけどモヤモヤ。雑用がちょっと憎らしく思えて、でもそれより相手の男を殺してやりたいような変な感情。だって、専属の雑用係やらせてやってんのに、何で。


でも男の姿は見えないまま、雑用はその部屋にスルリと入り込んでいった。

中途半端に閉められた扉からは、わずかな灯りが漏れて廊下を細く照らしている。



この目で確かめてから、全部ぶち壊してやろう。

モヤモヤがイライラに変わった俺はずんずんとその部屋に近づいていった。

扉の取っ手に手をかけた時、ふと扉に書かれた文字が目に入った。




『医務室』




少し拍子抜けした。
なんでこんなとこに?
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