icebound shangrila

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「それじゃ、行ってくるから」





夕飯後、団長は任務に出かけていった。

時々、夜に仕事が入るらしい。何をやってるかは知りたくないけど、なんか大変そう。




ぽつんと残された私は、とくにやることもなくてベッドに仰向けに転がった。



一人になると、どうしても考えてしまうことがある。



「私、いつになったら帰れるんだろう…」



もう時間の感覚もなくなってきて、ここに来てどのくらい経ったかなんて覚えてない。

でも、かなり経ってる気がする。



帰り方なんてわかんないよ。
ただ一つ、頭に引っかかるのはあの変な夢。




初めてあの夢を見たのはいつだったか。まだここに来て数日くらい?

あの時は、『まだ始まったばかり…』だなんて言ってた気がする。
何が?ってあの時は思ったけど、なんとなく私のトリップのことなのかな、と今では思う。


問題は最近見る夢。


またあの時と同じ、砂時計の中に自分がいる。

砂時計の外は真っ暗闇。私以外に人の気配はなくて。


一つ違うのは、上から落ちてきて積もった砂の量。

夢を見るたびにその量は増して、私の腰まで埋まるくらいになってる。
夢の中で、身動きがとれなかった。
いつも、このままじゃ埋れちゃう!って慌ててるとこで目が覚める。


でも、目が覚める直前でまたあの変な声がするんだ。


『あと少し』



それが怖くて怖くてしょうがない。

何があと少しなの?
砂が落ち切るまで?

…落ち切る?




そこでハッとして私はベッドから起き上がった。



砂時計って、時間を刻むものでしょ?
じゃあ、砂が全部落ち切ったら私はどうなるの?





家に帰れるってことだ。

そうだ、そうじゃん!
喜ばしいことじゃん!

もうこんな雑用なんてしなくていい。危険と隣り合わせの生活もしなくていい。乱暴でワガママな団長に…
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