icebound shangrila

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どうも、今日は任務がなくて暇らしい。



団長は朝食後、パジャマのままソファーに座ってぼーっとしている。

ソファーの前のテレビは破壊されたままで、見たくても番組が映らない。
何で壊れたのかは聞かないことにした。




平和だ。すごく平和だ。


団長を視界に入れつつ、温まったミルクを二つのマグカップに注いだ。


そして戸棚からココアの缶を出して、スプーンでいれる。


ほんわりとカカオと甘ったるい匂いに包まれながら、それをお盆にのせて団長の元へ運んで行った。



「団長、ココアできましたよ」



ぼんやり顔でお盆を覗きこむ団長。
コト、と団長の前に置いて自分も団長の隣に腰掛ける。



「甘い、」




一口飲んでみて気に入ったのか、まじまじとカップの中を見つめる。

団長にならって私もココアを一口飲む。




そして、いつ帰ることについての話を切り出そうかと考えていた。




今日は朝から機嫌がいいみたいだし、任務も入ってないから言うなら今がチャンス。




もう一口、また一口とココアを飲む団長に向き直り、テーブルにカタン、とマグカップを置いた。




「…何してんの?飲まないなら俺がいただくy「だ、団長…あの、お話があああありましゅっ」




かんじゃったかんじゃった!
なんだよ『ありましゅっ』って。我ながら気持ち悪いわ。鳥肌立つわ。
ほら見ろ団長の眉間のシワを。不愉快って顔に書いてあんぞ。




「…話って、何」



「あ、あのっ、実は…」




鼓動がうるさい。

顔を上げれば、真剣な眼差しの青い瞳が私の言葉を待つように、見つめ返している。



勇気を出して、言わなきゃ。






「わ、私、もうそろそろ帰らなきゃいけないみたいでっ」




そう言った瞬間、青い瞳は大きく見開かれた。
その反応に私も驚いてびくっとする。




「…帰る、だって?」




ガタン、と団長はマグカップを置いて私に向き直った。
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