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□迷惑願望
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最先端のCG技術をフル活用し、『映像革命』と言われたあるロボット映画を、メカニックはかなり気に入っていた。

「かっこいー。ランドもあんな大きさに作ってみようかなぁ。一斉爆破したらすごい事になりそう」
そのお気に入り映画のDVDを発売後即購入して以来、暇さえあれば映画鑑賞。
そしてメカニックは今も、もう何度目か分からない映画鑑賞の最中だった。

車の状態から派手にトランスフォームして戦闘を繰り返すロボットのシーン。メカニックは見惚れてため息をつく。
「あんなロボット、爆破してみたいなぁ」
さっきから爆破爆破と口々に言うメカニックに、後ろで衛星端末の手入れをしていたランチャーは苦笑いした。
メカニックは何かと爆破したがる。先日は自作の目覚まし時計を勢いで爆破していた。なぜ爆破出来るようにいちいち設定して作っているのか。

「いいなぁ、あのロボット…作れないかなぁ。……………」
いくらなんでも作れないであろう巨大な金属生命体。メカニックは難しい顔をした後、無言で俯いた。
しばらく俯いたままで画面を見ないメカニックに、ランチャーは首をかしげた。
「どうした、メカ」
「……なんか猛烈に爆破したくなってきた…」
ゆっくりと立ち上がったメカニックに、ランチャーは思わず爆破出来るわけもない自分の手元にあった機械を隠した。
一度『爆破したい』と言い出すと、メカニックは何かしら爆破させるからだ。
「…我慢できない。……ちょっと爆破してくる」
なにが、ちょっと爆破してくる、だ。
明らかにおかしい発言だがランチャーは苦笑いをしただけ。
メカニックは部屋から出て行った。
しばらくして2階からメカニックの声が響く。

「ねぇ、ランー!ランのコンポ爆破していいー?」








─迷惑願望─


いいわけないだろo
ちなみにアラドの世界に映画なんてものは存在しなさそうo



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