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□友情
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その日4人はクエスト処理のために、シャローキープに足を踏み入れていた。

「ラン行ったぞ!」
「ッ、見れば分かる!」
前衛で戦うレンジャーとスピッドファイアの攻撃を逃れたグールが後衛のランチャーに向かう。
ガトリングガンで撃ち殺そうと思ったが、迫ってくるグールのスピードが急に上がり、一気に懐に入ってきた。
「…ッ!」
ガトリングガンを手に、咄嗟に膝蹴りを喰らわす。吹き飛んだグールに構えたガトリングガンの引き金を引いた。
ランチャーの更に後ろにいたメカニックは、背後から迫る下級精霊のナイアドに、ランドランナーとカウントダウンの一斉爆破をお見舞いしていた。

次から次へと沸いてくるグールの相手をしている間に、急に女性の、喉で笑うような不気味な笑い声が辺りに響いた。
「うわっ、レイスじゃね?お化け、お化け!」
スピッドファイアが騒ぎながら何故かレンジャーに冷凍弾を手渡す。
「落ち着けこのカス。冷凍弾なんていらねぇよ」
さらりと暴言を吐いて、レンジャーは半歩後ろにいるスピッドファイアに後ろ蹴りを喰らわせた。
「ぐえっ!……ひ、ひでぇ…、」
無防備だった鳩尾にまともに当たり、スピッドファイアが呻く。
その間にも笑い声はどんどん近づいて来ていた。
「ちょ、とりあえず場所変え…──!?」
シャローキープはこのメンバーなら苦戦するような場所ではない。が、仮にも何が起こるか分からないのがダンジョンだ。
ランチャーが場所を変えないかと口を開いたところで、目の前に突然レイスが現れた。
「ッ、…んんんんーッ!?」
反応する間もなくレイスに唇を塞がれる。
「ラン!?……うわぁ……」
ランチャーの言葉にならない叫びにメカニックが驚いて振り返り、飛び込んできた光景に思わず顔がひきつる。
「…ぁー…、…」
「うわわわわわ、出たぁー!」
前衛の2人も気付き、それぞれ反応をする。が、反応するだけで誰も動かなかった。
「んっ!んんんーッ!」
助けてくれ、と涙眼で訴えるランチャーの言葉にならない叫び声に、我に帰ったレンジャーがようやくレイスにヘッドショットを撃ち、レイスは短い悲鳴と共に消えた。
同時に、解放されたランチャーが口を押さえて地面に膝と片手をついた。
「だ、大丈夫…?」
「ふ…ざけんなっ、助けるの遅くね!?…おぇっ…、」
ランチャーの脇まで来たメカニックが尋ねると、ランチャーは涙眼で咽づきながら3人を見上げた。
間違いない、と3人とも苦笑い。
「うぇ…、気持ち悪い……おえっ、ゲボ吐きそ…」
「ゲボって」
せめてゲロって言えよ、とスピッドファイアがよく分からないツッコミを入れる。
すると再び女性の笑い声が辺りに響き渡った。
またレイスだ、とランチャーが青い顔で急いで立ち上がる。
「またお化けっ!怖ぇーっ!」
1人騒ぎ出したスピッドファイアの横で、レンジャーがリボルバーを構えてランチャーを振り返る。
「ラン、衛星で確認出来ないのか」
「…お化けは無理」
「スピ後ろ!」
レンジャーの問いに答えたランチャーに、半ば被るようにメカニックが叫ぶ。
「ぎゃぁああーっ…んぐぅうー!?」
背後に突然現れたレイスに絶叫し、そのままスピッドファイアは先程のランチャーのように口を塞がれた。
すると更に何重にも女性の不気味な笑い声が辺りに響き、思わず3人はぎょっとした。
「……逃げるぞ」
「「間違いない」」
レンジャーが駆け出すと、メカニックとランチャーが同じタイミングで応え、後を追って走り出す。
「スピ頑張れ!またな!」
ランチャーが振り返り、スピッドファイアにそれだけの言葉を投げ掛け、また走り出す。
「んんんー!?ふぐ、んんぅー!」

後方から聞こえるスピッドファイアの叫び声を無視し、3人はその場から無事逃げ去った。








─友情─


そんなもの、この4人の間にはないo
衛星で確認とかいう時点で覚醒してんのかって話ですが、そこは触れないでもらえると助かりますo苦笑




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