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□せいなる夜の翌日
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ぼやけた視界に、見覚えのある部屋が映った。
同じく見覚えのあるシンプルなグレーのカーテンの隙間からは光が射している。
素肌に感じる毛布の感触は気持ちいいが、露出した肩が少し寒い。
毛布を肩まで引っ張り上げ、……
……素肌?

寝ぼけたまま自分の腹あたりに触れる。うん、素肌だ。
そのまま太股まで手を滑らせても変わらなかった。うん、素肌だ。
……何で?



「──!!?」
雷に打たれたような衝撃で現実に引き上げられ、寝ぼけていたブラスターは今年一番の物凄い勢いで跳ね起きた。
先程の感触から慌てて自分の姿を確認すれば、やはり素肌──裸だった。
同時に、視界の端に映った銀色に、思考が停止する。
銀色。

…何で銀色?
あぁうん、俺の髪は銀色。
友達の髪も銀色。
そうそう、お揃いの銀色の髪。
友達?
あぁ、デスペラードっていってね、昨夜一緒に呑んだんだ。
お互いよく呑むタイプだから、競い合うように呑んでね、……
───


恐る恐る、銀色の映った斜め左下に視界をずらしていく。
すると、視界に現れたのは予想通り且つ予想外過ぎる物体だった。
「……!!!」
驚きのあまりひゅっ、と息を吸い込む。
そのまましばしの間呼吸が止まり、瞬きも忘れてガン見する。
驚きを通り越して頭が真っ白になった。
「デスペ、ラード…」
隣には、こちらに背を向け壁と向き合うようにして眠る友人の姿があった。
「……ぁ、…え、と…」
毛布の隙間から覗くデスペラードの肩や背中。
あ、うん、肌色。裸かな?…裸だね。
……どういう事なのだろうか。

よく見てみるとここはデスペラードの部屋だ。
そしてデスペラードのベッド。もちろん狭いシングルベッド。
つまり、つい今まで、限りなくゼロに近い距離で友人と同じベッドで裸で眠っていた事になる。
……なーんでだっ?
それはねそれはねっ……って、やかましいわボケ!


面白くもない一人コントを終え、改めて部屋を見回す。
テーブルの上には洋酒のビンが何本も転がり、グラスも何個も置かれていた。更につまみの残骸やアイスペールやマドラー。

そうだ、昨夜。
お互い独り身のクリスマスを持て余し、酒場で一緒に呑んでいたのだ。
だが呑み足りず、近くの酒店で酒やつまみをこれでもかという程買い込み、デスペラードの部屋で再び呑み始めた。
下らない話題で盛り上がり、競い合うようにして、まる浴びるかのようにお互い酒を呑んだ。
──そこまでは思い出せる。

……。
昨夜はお互いかなり酔っていたし、今デスペラードと一緒のベッドで寝ている事はまだ良しとしよう。酔っ払ってなら充分あり得る事だ。
だがしかし。
何故お互い裸なのか。そこは良しと出来ない。
更に実は、先ほどから身体のあちこちが鈍く痛い。特に……腰。
「……!!」
何気なく、ベッドの横の床を見る。再び息が止まりかけた。
ベッド横にはゴミ箱があり、中にはつまみの外装の袋がいくつかと、そしてぐしゃぐしゃに丸められた使用済みティッシュが山ほど。
ゴミ箱周りにも同じく使用済みのティッシュが散乱していた。


大量に酒を呑み、行方不明の記憶。
友人とシングルベッドで仲良く裸。
身体のあちこち、特に腰に走る痛み。
使用済みティッシュの山。
──もう限界だった。


「っぎゃぁああああー!!」
思わず絶叫する。
そんなバカな!あり得ない!
俺はノーマルだ!女の子が好きだ!おっぱいが好きだ!!
デスペラードは同性から見てもイケメンだが、セッ…セックスなんて出来るか!!
いや、されたのか、この場合。
掘られたわけだ、デスペラードに。
処女喪失おめでとうございますブラスターさん!ってやかましいわボケ!!


「ッデスペラード!デスペラード起きろよ!!」
涙目で隣で眠る友人を叩き起こす。
デスペラードは低く呻きながら眼を半分開けた。
「…なんだ…うっせぇな……」
「デスペラード!これどういう事なんだよ!?説明してくれよ!」
いっそ泣き出してしまいそうな勢いで叫ぶと、デスペラードは煩わしそうにしながら身体を少し起こした。
緩慢な動きで部屋の様子や互いの状態を確認し、欠伸を1つ零す。
「あぁ…、昨夜のお前すごかったな…」
そう言って、再び毛布に潜り込んで眠ってしまった。
「はっ!?ちょっ、デスペラード!?」
何が!?
俺の何が凄かったわけ!?
それはあれか!?
セックス的なこう、仕方だとか乱れ方とか!?

一体何の事なんだ!?
俺達は薔薇満開の禁断の世界に入ってしまったわけ!?

教えてサンタさん!!!








─せいなる夜の翌日─


12月26日、某ブラスターを襲った出来事o
おバカな内容ですみませんo笑



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