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□俺が、
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「……俺が、守ってやる」
真っ直ぐに見据えられ、初めてデスペラードにそう言われたのはいつだったか。


「……」
何言ってんだ俺が守るよ、と言いかった言葉は、喉元でつかえて止まった。
自分より、デスペラードの方が強い。
戦いの場では自分より遥かに前に出て戦い、まるで舞うように、リボルバーだなんて小さな銃を手に、華麗に敵を倒していくのだ。
自分はそんな彼の背中を見ながら、重火器だなんてやたらと大きな銃器を手に、彼を支援するだけ。
「俺だってひとりで大丈夫だよ」
「…お前は近付かれたらそれまでだろう」
「……」
言えてる。
遠距離戦には誰よりも長けている自信はあるが、ひとたび接近を許してしまえば抵抗する術が限りなく少なく、やられてしまうのが事実だった。
ストレートに言ってくれるものだ、と目の前で煙草に火を点けたデスペラードを控えめに睨む。
「いいから守らせろ、…不安だ」
「……」
煙を吐き出して彼が言った言葉に、少なからずショックを受ける。
不安にさせるほど自分は頼りないと認識されているのか。
そんなに自分は弱いのか、基準がおかしくないのか。
これでは何のためにブラスターになったのか分からない。
前衛で戦う彼を守りたくて、必死に努力して衛星の使用権限を取得したのに。
だが彼の認識も間違っていないかも知れない。
必死の思いで手に入れた衛星の眼と支援砲は、けれど彼を守るには足りなかった。
自分では、駄目なのか。


「俺は、守れない?」
「…何をだ」
戦場に出る前、軽く点検を終えたらしいリボルバーをホルスターに差すデスペラードの背中に問う。
デスペラードは振り返る事なく、新しい煙草に火を点けたようだった。
「…デスペラードを」
「なんだ、俺を守りたいのか」
そう応えたデスペラードは鼻で笑い、ようやく振り返った。
鼻で笑うな。悔しい。
「……」
ふと、デスペラードの腕に巻かれた血の滲んだ包帯が視界に映る。戦場で負った傷だ。
そして、その傷を負った戦場に、今から再び赴く。

「…守りたい」
だって死んでほしくないから。
怪我だって、なるべくしてほしくないから。
「お前はバカだな」
視線を伏せて答えると、デスペラードの呆れたような声が降ってきた。
同時に、デスペラードの腕がこちらに伸ばされる。
「俺が安心して敵の前に突っ込めるのは誰のお陰だと思ってる」
「…っ、」
言って、ぐしゃぐしゃと髪を乱雑に撫でられた。
思わず顔を上げれば、デスペラードが咥えていた煙草を地面に放り顔を寄せてきた。
「待っ…!」
顎を取られ、静止を乞う前に口付けられる。
ここはキャンプ内のテントだ。
今は誰もいないとはいえ、すぐに誰かが来てもおかしくない場所なのに、と頭が真っ白になる。
「っいきなり何すんだよ!」
慌ててデスペラードの肩を押して引き離せば、デスペラードは再び鼻で笑った。
懐から新しい煙草を取り出し、傍らに置かれたハットを被る。

「お前が後ろにいるから、俺は安心して戦える」
「……、俺は、デスペラードが前にいるから、安心して戦える」
デスペラードの言葉に、同じような言葉で返す。
デスペラードは小さく笑い、咥えた煙草に火を点け背を向けた。
ホルスターやベルトを整え、煙草の煙を吐き出す。


「……俺が守ってやる」
「……、俺も守るよ」

背を向けたまま言われた言葉に、再び同じような言葉を返した。


守られているのは、どっち。








─俺が、─


デスペ×歳下ブラスタのイメージo
Twitterにて、私は5RTされたら、デスペ×ブラスタでデスペの『……オレが、守ってやる』で始まるBL小説を書きます!d(`・ω・)b shindanmaker.com/321047 ...この診断結果ツイートが予想外に5RT以上されてしまい、急遽らくがきっ!




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