セラス・エピリア
□夕闇
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水平線の彼方。夕日が沈んでいく。近くにある公園でたくさんの人が写真を撮っている様子がここからだと良く見えた。
「ここにいたのか」
後ろから声が飛んでくる。声の主は振り向かなくても分かるので、茶髪の少年は小さく頷くことで返答をする。
「綺麗だな」
「そうでしょうか? 僕は目が痛いだけですけど」
吹き抜ける風が少年の茶髪と青年の青黒い髪を揺らす。
「零次」
「何ですか?」
「この研究は、本当に皆を幸せにするのかな?」
一瞬の無音。日が沈みきり、公園にいた写真家はそれぞれ機材を片付けて帰っていく。
「結果が分からなければ、僕にもわかりません」
「そうか」
実際、二人もこの研究が将来どのような役割を果たすのか、全く分からなかった。ただ、人のためになると言い聞かされながら今日まで多くの犠牲を払い、完成まで後一歩のところまで来たのだ。
「…今日で全てが分かるんですね」
「この研究が凶器となるか、それとも人類を救う救世主となるか…。俺には前者の結果しか見えないな」