Main 嫌われ小説

□5話
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―――1年前


「おい、お前この前染め直せって言っただろう。」


「別にあんたには関係ないだろう」


ここに入学して、1週間もしないうちに髪の事で先輩達に目を付けられた。
会う度にそのことでからんでくる。
うざったい。


先輩達に放った言葉が気に障ったのだろうか、
先輩の手が振り上げられる。
グーだ。

ぐるっと囲まれている俺は逃げることもできず、思い切り歯を食いしばる。

そこに、あいつが現れた。





「先輩方、後輩1人を取り囲んでリンチですか?」




声変わりをしていないらしく、女子みたいなよく通る声が聞こえた。





俺を取り囲む男たちの間から見えたのは、確か同じクラスの、幸村。

「先生に言っちゃおうかな」

幸村がそう言うと、先輩はちっ、と舌打ちをして走って逃げた。


「大丈夫?」


唖然としている俺に彼は話しかけた。


近くで見たのは初めてだった。






小さいな、と思った。そして、女みたいな顔をしている、とも。
俺との身長差は6cm。
そんな男に助けられた。





「平気」




ありがとう、と言うと彼はにこりと微笑んだ。



その次の日から、俺は絡まれることがなくなった。
幸村のおかげだ。



「なぁ、仁王」



この声は、
この女みたいな声は、




「ん?」




「仁王って、部活何に入るの?」




幸村。




「テニス部」





俺を助けてくれた、小さくて強い男。





――――――
1年幸村は155cm
1年仁王は161cm
だったらいいなって言う妄想。
2人とも2年生後半にぐんぐんのびればいい。
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