バトテニ 短編

□闇の向こうのその先に。
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「にお・・・くん・・・・・・?」


目の前に、愛しい人が倒れている。


とても綺麗な顔で、

とても綺麗な涙を、血を流して、


彼は・・・仁王くんは


そこに倒れていた。




「嘘・・・でしょう・・・・?」




これもまた、ペテンなのでしょう?

そう言おうとして、彼が手に何かを持っているのに気がついた。

「手紙・・・?」








その手紙は、自分へ書かれた物だった。





『柳生へ

おまん、今俺を見てペテンじゃ思ったろ?
残念ながらこれだけは真実じゃ。
ちなみに、俺は誰に殺されたわけでもない。
自分で死の道を選んだ。
仲間を殺したくなかった。
仲間が狂っていくのを見たくなかった。
俺は、自分の弱さに殺された。
だから、柳生は誰も恨まんでいい。
どうか柳生は道を踏み外さんように、
・・・俺みたいにならんように。

俺はおまんが誰かを殺すのは嫌じゃ。
そうなるのなら、
俺のところに来てほしい。
すっごいわがままだとはわかっとる。
でも、柳生のきれいな手を汚させたくない。

ま、柳生の人生は柳生のモンじゃ。
別に聞かんかったことにしてくれても構わん。

じゃあな、柳生。


                 仁王。』



泣きそうだった。
なんどもなんども読み返す。

ふと、最後の文の後に、なにかを消したあとが目に入った。
その部分をよく見てみると、手紙の続きらしきものが書いてある。




『ひとりにせんで。』




なにかが吹っ切れたように、涙がぼろぼろこぼれた。

ひとしきり泣いて、仁王くんの傍らに落ちていたナイフを拾う。

彼の最後の言葉を叶えるために。





「仁王くん。今、そちらへ行きます。」
立海のみなさん。
すみません。
































闇の向こうのその先に、彼を見つけた、気がした。







仁王雅治(立海)
柳生比呂士(立海)   死亡。

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