バトテニ 短編
□最後の王様
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『優勝者、跡部景吾!』
俺?
俺が、優勝?
そんなわけあるかよ
忍足が、樺地が、日吉が、宍戸が、あいつらが
死ぬわけ、ないだろ
嘘だ。
氷帝のやつらが、死ぬわけねぇ。
いつのまにか、目の前にはにやにやした老人と、それを守るように取り囲んだ軍人達。
「おめでとう、跡部くん。君が唯一の生き残り・・・優勝者だ。」
老人の口から、しわがれた声にのって絶望にたたきおとすような一言が紡がれる。
「君がころしたのは、青学の手塚くん・桃城くん、立海の幸村くん・丸井くん・切原くん・そして氷帝のみんなだ。」
いっぱいころしたんだね。
そう言った老人の声は上手く聞くことができなかった。
パニックになる。
氷帝の・・・みんな?
俺は、あいつらを・・・?
なんで・・・
俺は・・・
ふと思い出される光景。
ゲームが始まってすぐ、俺達氷帝はとある小屋に集まった。
そこで、忍足からひとつの提案があった。
『俺は、跡部を優勝者にしたい。』
反対した。
俺だけが。
滅多に笑わない若が微笑んで、
『これで、ひとつ貸しですね』
といった。
他の奴らも、そういったニュアンスの事を言っていた。
いやだと言い出すものはひとりもいなかった。
そして、
そして?