刹那の奏者の懺悔室
□2 二度目の記憶
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次の日の昼休み、私はいつも通り図書室へ向かった。
中に入り本の置かれているところへいくと昨日家に来たあずさんがいた。
「あーずさんっ」
「ん?」
あずさんはこちらへ向く。
「昨日ぶりですね〜」
口調を変えて話してみた。もちろん笑顔で。
そう言えばこの人あんまり笑わないなぁ…。
「あずさんってよく図書室くるの?」
「あぁ、来るよ」
「へぇ、なんか意外」
「どういう意味だよ…」
「へ?何が?」
私はいたずらな笑みを浮かべる。人をからかうのって面白い。
私は一冊の本を手に取りいつもの席に座る。
とったのは羅生門という本だ。最近こういう系の本にハマっている。一学期の時は『人間失格』、『こころ』、『変身』等を読んだ。なかなか面白く結構ハマる。
今回の羅生門はどんな話だろう。凄く楽しみだ。
私は表紙を開き本編の方を読んでいく。
しばらく読んでいくと、予鈴が鳴ってしまった。
あ…教室に戻らないと……
私は本をとじ、元の棚へ戻した。
図書室の出入り口付近であずさんを見かけたので少し声をかけた。
「あずさんばいばい〜」
「あぁ」
私はにこりと笑い、小さく手をふった。
そして図書室を出て教室へ戻った。
「次の授業は何だっけな…」
そう呟きながら教室へ急いだ。