刹那の奏者の懺悔室
□3 新しい始まり
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二学期の最初の大きな行事、体育大会が始まるまで後2週間。
体育大会まであまり時間の余裕もない。まわりは精一杯練習をしている。
それに合わせ私も練習をする。
クラス対抗の大縄飛びは協力しないとうまくいかない。だから協力し、一緒に練習に励んだ。
ただ負けるのは嫌だったから、練習はちゃんとする。
*****
授業が終わり休み時間になった。
私は絵を描くのを中断し、飛鳥と話していた。
もちろん絵を描いているページは開きっぱなしでそのまま放置していた。
すると1人の男子がそれをみて呟いた。
「あ、政宗」
その言葉に私は反応し、振り向く。
案の定男子が私の絵を見ていた。
「み、みるなあっ!」
私は自分の席に置かれているノートを閉じた。
私の絵を見ていたのは小野宮だった。隣には神北と河内がいた。
ふぅ、と私は息をつき小野宮を見た。
「小野宮…知ってるの?」
「うん」
「そうなんだ…。」
ノートの絵は私が好きなキャラだ。それを知っていたのは少し嬉しかった。
その事を元に私は小野宮や河内とよく話すようになった。
神北とは元々仲が良かったので3人で話すことが多くなった。
そして3人で遊んだりもよくするようになった。
主に河内と小野宮と良く遊ぶ。
仲が良いせいか付き合っている 等の噂が裏で流れていたが私は気にしない。
遊んでる中で番号交換もしたりした。
河内はメールが苦手らしくよく電話がくる。小野宮とは主にメールでやり取りしていた。
凄く楽しかった。
でもこの感情は本物なのか?
ただの錯覚ではないのか?
それともそう感じるように誰かに仕向けられたものなのか。
私にはわからない………
私に感情がないわけでは無い。
でも回りのような考えができない時がある。
“何故?”
私だって皆のように素直に楽しみたい事だってある。
だけど、それを否定し、うやむやにしてしまう感情がある。
普通の幸せさえ私は否定し遠ざけている。
だが、そんな感情を打ち消すかのように1つの歯車がカチリと音を立て回った。
また新しい始まりがくる。
それが深い闇に陥るとは、私はまだ知らない。