心鏡の部屋
□もし願いが
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今日は七夕。
七夕にみんなは短冊に願い事を書き笹につるす。
本当に叶うわけではないが、何故か多くの人は願い事を書き入れる。
私も幼い頃は何度か書いた。
今になっては叶わない願い事だ。
小学校1年の時、私は短冊に「おじいちゃんが長生きしますように」と書いた。
だが、願い事は1年で断たれた。
翌年に祖父が亡くなった。
その時私は全くなかなかった事やその時の風景、ほぼ全て記憶に残っている。
何故泣かなかったのかはわからない。
何故あの時悲しまなかったのかわからない。
もしかして、すでにあの時から感情のコントロールができていなかったのだろうか。
そうなら哀しいな。
ふと、私は空を見上げる。
生憎今日は雨。今夜は星が見れそうにない。
私は空から目を外し、部屋の中で寝転んだ。
小さな明かりだけがついている薄暗い部屋。
私以外は誰もここにいない。
静かだ。
「そういえば願い事まだだった」
そう呟く。