短いの(夢)

□仮説をたてましょう
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「もし、もしあなたが」

「私を嫌いになったら」

「私はどうすればいいの?」













テレビを点けたらドラマのヒロインがまじめな顔で彼氏らしき人に聞いていた。




バカみたい。




そう思ってみようと思っていた番組を見るのをやめて布団に潜り込んだ。





(…ばっかじゃない、)




好きな人相手なら信じてるのが当たり前なんじゃないの?



そうやって考えているうちにバカにできなくなっていった。




(…私は、どうしたらいいのかな…)



















ピチュン、ピチュチュ…



「ん、...あれ、今…何時だ…?」



時計に手を伸ばし、覗くとすでに九時半を回っていた。



「げっ、10時にかったん来るのに…!」


私は飛び起きてシャワーを浴び、薄く化粧をして髪を乾かしていた。




ピンポーン…






はやっ!何でこんな日に限って早いのさ!!



そう思ったが遅く起きたのは自分で、非があるのはわかっているので渋々ドアを開ける。


「ん…はよ、」



「おうっ、邪魔するで」



コンビニから買ってきたであろう、ソフトドリンクとポテチなどが入った袋を片手にニカッと笑って部屋に入るこいつ…一応、彼氏。





サッカー選手と聞かされたときは驚いた。



友達に聞けば皆口を揃えてカッコいいという。



かっこいいにはかっこいいが…




「おまえ、何度いうたらわかるんや!カップめん食うとったら栄養偏ってまうで!!」



口うるさい、姑のようだと常々思っているのはいわないでおこう。


「そや、自分…日曜空いとるか?」


「日曜?うーっと、うん、空いてる」


「そんなら試合見に来ぃひん?」


ぺらっとチケットを渡してくる。


特に予定もないし、見に行くか。



「うん、行く」




「ほんまに?!よっしゃ、ハットトリック決めたるで!」


「ハットトリック?…かったんが?……頑張って」


「何やぁ?さては…俺が決めるの無理やと思っとんとちゃうやろな?」


「…ごめん、ビンゴ」



なぜこうも簡単に言い当てられるのだろう。


そんなとき、昨日のドラマを思い出した。


「ねぇ」
「なぁ」


同時に声を発した。

なんてことない、たまにあることなのに、私はいつものように笑えなかった。



「どないしたん?」

「え、」

「下ばっかみてたってなんも落ちてへんで」




上見て、俺みて笑いぃ。



その言葉に私は涙があふれた。


拭ってもどんどんそれは流れてきて止まらなかった。



「な、なんや!俺なんも泣かすよなこといっておらへんで?!」


「うん、うん…わかって、る…わかってる…なん、か…なんかぁ…っ!」

「ちょ、一旦落ち着けて!」

焦ったかったんの声。


次の瞬間にはかったんに抱きしめられていた。



「…なんか、あったんか?」

「っ…」


「何かおらへんかったらこないなことになっておらへんねんな」

「か、ったん…」


「なんや?」


「もし私を嫌いになったらあなたはどうするの?」



「おま…」

「!」


言ってしまった。いってからハッとした。


「あ、ごめん...!あ、あ、かったん…ごめ…!」

かったん、絶対怒る…!

そう思うと顔をあげられなかった。


怖いと思った。

ぎゅっと目を瞑り、体を硬くした。


「…そやな、どうもせんで。」

「…ぇ」


「そないなことあらへんもん。どうしようもないやろ?」


返ってきたのは想像と反対で、ずっと優しい言葉だった。


「かったん、」


「俺はお前を一生手放す気はこれっぽっちもあらねんで!!」






仮説をたてましょう




(あなたの笑顔につられて私も笑った)
(その笑顔は返事なの)












13秒後の恋愛感染に提出させていただきました!


ありがとうございました!

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