短いの(腐)

□君の望み
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「今日は大活躍でしたねー、堺さん」


今日の試合……名古屋との試合は、両チーム1点も譲らずに延長試合に持ち越された。


そこで堺さんが決めたのだ。



「ありがとよ、世良」




あぁ、堺さんはかっこいい、と改めて思う。


選手としても、男としても。





「堺さん、世良さん、早くして下さいよーっ早くしなきゃ、俺…みんなに怒られます……」


さっきまでブラジル選手に絡まれていた椿が自信なさげとゆうか弱気とゆうか…そんな声で呼んでいる。



「おぅ、今行く!」







「ETU勝利を祝して、かんぱーい!」


「みなさん、お疲れっス」

「次の試合もがんばろうぜ」



堺さんの家に集まったメンバーは、皆がやがやと騒ぎ、酒を飲んでいた。


あれっ、堺さんは……っと。

ベランダで佇んでいる堺さんの隣へ行き、声を掛ける。




「堺さん、酒、飲まないんスか?」



「あぁ、体に悪いし……」


堺さんは苦笑いをしながら言った。



「そうなんスかーおいしいのに。でも健康にまで気ぃ使うって、やっぱ堺さんすごいっスね、尊敬します」



「いや、サッカー選手として普通のことだ。お前も気をつけろよ?」



なんだか堺さんが心配してくれたようで、俺は少し嬉しくなった。





「おーい、世良、早く戻ってこい」


「今行きます!」





部屋の中では、もうみんなぐだくだだった。



「あははっ世良さんいつになくちーせーっ」


「…赤崎、大丈夫か?」


「もっと飲もーよ世良さん!」




後藤さんや達海さんは呆れながらも、静かに酒を飲んでいた。



「世良さん、酔わないんですねー俺、もう駄目かも……お花が見えるーきれい……」


「……椿、お前はもう寝ろ」







気がつくと、さっきまでは余裕だった後藤さんや達海さんも、余程の酒を飲んだのか酔いつぶれてしまっていた。




「世良、お前は平気なのか?」



「大丈夫っスよ、片付け手伝います。」


「ありがとな」




「堺さん、皿ここに置くっスよ」


「あぁ、」



ふっ、と見上げると、自分の頭よりかなり高い位置に堺さんの顔がある。


思わず見惚れた。

「…っいて……」


どうやら皿が欠けていたらしく、指を引っかけてしまったらしい。

「おい世良、さっきからぼーっとしてっからだよ。血ィ出てるぞ」


そう言って、堺さんは俺の指を取り、傷口を舐めた。



「なにしてんすかっ、堺さんっ」


「何って……こうすれば血、止まるだろ?」



堺さんに指を舐められて、俺は酔ってるんだか緊張してるんだかよくわからない錯覚に陥った。



「……よし、世良も疲れてんだろ?もう寝ろ」



「じゃあ、ふらついて歩けないんでお姫様抱っこで連れてって下さい」




「…………」

堺さんはどうしたらいいのか分からないような顔をしている。


「みんな潰れてるし、大丈夫っスよーお願いしますっ」



「仕方ないなぁ……」




ひょろっと持ち上げられると、堺さんの香りがして、暖かくて、とても落ち着いていて眠気が襲ってくる。






堺は起用に片手で扉を開ける。


「おい、世良。ついたぞ……って寝てんのか?」


俺は世良をゆっくりと自分のベッドに下ろした。



「全く……お前はかわいいんだよ。危機感もてっつーの」



ベッドの上の世良はすやすやと寝ていて、子供みたいだった。




体が、勝手に動く……気がつけば俺は世良の唇に触れ、キスをしていた。




「んーっ、堺さん……」


「世良、お前起きてたのかっ?」


「堺さん……もう1回…お願いしま…す」



夢を見ているのか、起きているのか。

よく分からないが、俺は世良を抱きしめ、もう1度キスをした。


さっきよりも長く、深く…













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