短いの(腐)

□きらいじゃない=
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「堺さん堺さん!」

「んだよ、うっせーな…静かにしろ」

「ちょっとー、聞いてくださいよー」


俺の話を聞いているのかいないのか…よくわからないこのちび、世良は週末になると俺の部屋を訪ねてはまんざらでもなさそうな口調で愚痴をこぼす。

静かにしろっていってんだろーが。

「そんでー、そこで赤崎のやつなんていったと思います?“世良さん危機感持ったら”ですってー。あは、あそこまで真面目な顔していわれたら俺なんて返せばいいんですかねー!!」

「…そうだな」

「あ!あと赤崎に飲み誘われたんスよー。」

「あぁ…」

「椿誘ったのかって聞いたら誘ってなかったらしいんスよー。」

「あぁ…」

「2人でのもーだって。笑っちゃいますよねー!」

「!…それで、行ったのか」



くそ、イライラする。


今の俺はいつもより目つきが悪くなり、眉間にしわがよっていることだろう。




目を向ければさっきまでうるさかった世良が黙って俯いていた。


「…世良?」


「………っ、さ、かいさ…」

「あぁっ?おまえ、泣いてんのか?」




内心焦った。いや、声にも焦りがでているはずだ。


「…堺さんは、飲みに行った方がよかったっスか」


「………」


世良の疑問にNOとはっきり答えられない自分。
そんな自分にはっきり言って嫌悪。


あぁ、素直になれねぇってこんなにもどかしいんだな



「…いけばよかった」




「はぁっ?!」


唐突につぶやかれた言葉。

それは堺の苛立ちに拍車をかけた。


「堺さん、なんにも答えないってことは行っても問題ないっスよね…今からでも俺」
イラッ


まて、その次をいうな。




「赤崎のところ行ってきます」









ダンッ!!と、壁を殴りつける。
地味に痛い。

立ち上がっていた世良は驚いて振り返った。それはそうだろう、いつもなら何も言わなそうな堺が感情を露わにしているのだから。





「今、なんつったよ、世良」

「ひっ…さ、堺、さ…」



いってはいけないのに。


いったって世良が困るだけだ。




わかっているのに止められない。


「赤崎のところに行くだと?!ふざけんなよ、あいつこそ下心ありありじゃねーかよ!お前、危機感持てっていわれといて全く警戒してねーじゃねぇか!!


…………分かれよ…」



自分のいいたいことを言い切って後ろから有無をいわさず相手を抱きしめる。

自分勝手すぎるぞ、自分。




「堺さ、ん…」


「すまねぇ…だけどよ、行くな。行くな、行かないでくれ……っ、世良…!」




自分の気持ちを吐き出す堺。その声はわずかだが嗚咽を含んでいる。








「ん…堺さん、顔…あげてください」


「…バカか。誰が」

「じゃあ、そのまんまでいいです、聞いててください。」



これじゃあどっちが年上でどっちが年下なのかわからない。

恥ずかしさと安堵から堺は世良の肩に顔を埋めたままでいた。







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