短いの(腐)

□君が誰を
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「やぁ椿君」

「ひっ…!」

「逃げる?」

「あ…あ…!」

「やだな、なんで指さすの?」



声をかけただけで肩をふるわせた椿君。
逃げそうだったから聞いただけなのに、指さされちゃった。

逃げれるっしょ、動物みたいな足してんだから。
故障してる俺よりも早いんだからさ。



「だーれにメールしてんのー?」

ひょいと取り上げて画面を見るとそこには“OG7”とかかれていた。

「は、だれ、これ。」


「………」

「椿君?」


「……っい、えない…です…」

「えぇ?そっかー」


深く追求しないフリをすると安堵した様子で小さい笑みを浮かべてる。

携帯をそのまま地面に落とす。

ちょっと重そうな乾いた音が響いた。

「ぁ…!」


「じゃあーそんな椿君にはー」


椿君が携帯を拾いたそうに、泣きそうな目でみてるけどそんなの知らない。

人差し指をたてながら一歩近づく。

一歩、また一歩。

ほら、あと一歩で触れる距離。


「お仕置き、しちゃおっかなー」

「っ!」

右手を椿くんの顔の横に置いてみる。


逃げ道は作ってあげる。

片手しか置かないのはその理由だ。



「ねぇ…椿君、何で逃げないの?」

「っ!」

逃げるようちょっとだけ囁いてみる。

すると横に飛び出して走っていく。


なんだ、逃げちゃうのか。



「追いかけるけどねー…っぐ、」

「持田さん…!」


膝の痛みで追いかけられない。

でも椿君は戻ってきた。


ごめんね椿君。君のその優しさ、利用しちゃうよ。


「持田さん、大丈夫ですか?」

「っ…椿君。優しいねー…ははっまじウケる」

「なにいってるんですか?!倒れた人放っておくなんてできません!」

「…椿君さ、」

起きあがる体勢にはいり、椿君を見上げる。



「つくづく甘いよね」



「え…?わっ」


押し倒して肩を押さえつける。

「ごめんね、利用しちゃった。椿くんの優しさ」

椿君、どんな状況なのか今気づいたっぽい。


「持田さんっ、さっきの、じゃあ仮病…?」

「いんやー?仮病じゃねーし。さっきのまじリアルに痛かったんだって」


服のしたに手を這わす。

汗でしっとりと濡れている体は熱い。

「や、やめっ」

「椿君さー、さっき逃げちゃえばよかったのにねー」

そうすればこんなことにならなかっただろうし。

腹筋のあたりを少し強めに吸う。

「あっ」

「…感じたの?」

「……」

ふるふると首を横に振る。


恥ずかしさからだろうか、頬が紅潮している。

目は腕で覆われ見えないがきっと涙目なのだろう。


「椿君さ、最初の時点で逃げなかったの。何で?」

「っ…それ、は…ぁっ」

「んー?」

首元に口を付ける。

汗の匂いは自然と気にならなかった。

べろり。と耳の下の辺りを嘗めてみた。

「ひぅっ!」


「つばき、くん」

ゆっくりと話しかける。

自然と声が低くなり、掠れた。



「持田、さ…」


「まだ?」

「き、らいじゃなかった…っす」


「え?」

「嫌いじゃなかったんです…だから、」

逃げたら、嫌ってるって思われると思って…


「…」

「んっ…あぁ、やっ」


無言で服を捲る。

胸の突起は硬くなっていて、指で転がす。


「あっ、あぁっ…ん...や、ぁ…っ」


「感度いいんだねー」

次は腰の辺りを撫でる。

さっき付けた印はすでに薄くなっている。


「椿君てさ、こうされたことないの?」

ちゅ…

口が付くときにわざとリップ音をたてる。

それだけでも羞恥は煽られるはず…


ほら、涙目になって顔が赤い。


「俺が最初なの?」

「…は、ぃ…」


「…素直だねー、椿君は」


持ち帰ってどこにも出さない。

試合だってでなきゃいい。


腰のくびれを一嘗めし、歯をたてる。

小さく弱い力で甘噛みし、だんだんと強くしていく。

最終的には歯形が残った。

「いーねぇ椿君。動物に喰われたみたい」

共食い。その表現がぴったりだ。

「椿君、腕。外しなよ」

「……や、です…」

拒否られた。


そっと小指を口に入れる。

「嘗めてよ、ほら」

おずおずといったように赤い舌が口から覗く。


口が開いたのを見逃すわけもなく、すかさず指四本を入れる。


「かむなよ」



今度は肩に歯を起てた。

いや、まだ起てていない。


「椿くん、」

「…ふぁい…」

「誰に噛まれてんの?」


「ふぇ…もひだふぁ…」

「ちげーだろ」


空気が一転した。


「噛まれた痕、うっすら残ってる…誰?」


「…あ、…」

「誰?」


「………さ、ん」

「は?」


「…きさ、ん…」


「ほら、ちゃんと言えって」

耳に舌を滑り込ませる。


肩がビクリと反応して離れようと顔を背ける。

が、それを許すはずもなく、がっちりと固められた顔は思うように動かない。


「ザキ、さ……っ…」

「…よくできました、」



ちゅ、と頬に軽いキスをし、上から退いた。


「……?」

「椿君さー、素直すぎる。反応も、感度も」


だから逃がしてあげる。



そういって足を引きずりさっき落としたケータイを拾い上げた。


ぴっ、ぴっ、と携帯をいじる。


「?…何、してんですか…?」

「ん、ほい」


渡された携帯。データをみると画像が消されているわけでもない。。

「持田さん…なにしたんですか?」

「電話帳。入れたから。」

「えっ」


電話帳を開く。

いつもなら一番最初に出てくるのは“赤崎遼”…ザキさんのはずだ。

だが出てきたのは持田さん。



「ごめんね、消しちゃった」

「!!!」


目を開き、呆然と立ち尽くしている。

「椿君、またね。」


傷ついたかな?
―俺にはカンケーないね

泣きそうかな?
―言えば抱きしめてやるけど


片手をあげて立ち去る。


椿君は俺を忘れなきゃいいんだよ



君が誰を

(君が誰を好きでいようと)
(俺は一目惚れだった)
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