短いの(腐)

□病院への道のりで愛を
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「ははっ、行くよバッキー」

「う、うす!王子!!」


声をかけられ返事をすると同時にボールがパスされる。
俊足の椿はそのポールを持ってゴールまで一直線だ。
と思った矢先、前には黒田さんという壁が立ちはだかる。
「へいっ、椿!」

世良が後ろの方でフリーだったためパスを通す。

「世良さ…っぐ…パス!」

「よしっ!!」


世良はゴールにボールを蹴り入れようと構えるがそこは杉江が通さなかった。
「げっ、杉江さん…ちくしょう…赤崎!!」

「うっす、世良さん…と、王子!!」

ワンツーのパスを通してジーノに受け渡すと華麗にゴールを決めてくれた。

「ご苦労様、僕のためにわざわざ悪いねー、バッキー、ザッキー、セリー」

ハイタッチをしている若手3人に声をかけてジーノはベンチへ戻っていった。


練習後、ロッカールームに戻っていった選手の中で1人、椿だけが戻らないでボールを磨こうとタオルを持って座り込んだ。
そのとき…

「おい、」

「あ、ザキさん…」


「お前、帰るぞ」

「ふぇっ?!」

いきなり帰ると言われ、腕を引かれると左足がズキッと痛んだ。だがそれを悟られまいと必死で取り繕う。

「あ、あの…「さっさと着替えろ」う、うす…」


何のためにこんなことをするのだろうと思う。


チラッ


「………」

うわあああああ、みられてるよおおおお?!

わたわたとあわてて着替え、終わったことを告げると盛大に溜め息を吐かれた。
えっ、俺なんかまたやった…?!

「…Tシャツ、逆」

「え…?わぁぁ!」


なんて凡ミスをしてるんだ俺は…と思いながら服を正面に戻して一息吐くと荷物を奪われ腕を引かれる。

「お前さ、足」

「えっ、」

「俺が気付かないとでも思ってたのかよ」

ずっとみてたんだけど


その一言にかあぁっと顔が赤くなった。

この人はいつもずるい。

「ザキさん、相変わらずずるいっす…」

ぽつりと呟いた言葉は聞こえたのだろうか。
空いていた手で顔を覆っていると車に押し込められた(あれ、これって誘拐みたい)。


「あ、あの、ドクターに見せた方が…」

「…ライバルいるところでお前の手当に付き添えるかよ」

「え?」

「あ、むしろ好都合なのか?俺のものって見せつけて…」

「あ、あの、ザキさん」

「いいんだよ椿、病院行くぞ」

いったい何のことを言っているんだろう。
ライバル?好都合?俺のもの?

…ん?俺の、もの?

状況が整理できたのかさらに顔を赤くした椿。

「お前、茹で蛸みてぇ」


車のフロントガラス一枚を通して見えた病院の文字。


(心配してくれてるんだよ、ね?)

そう思うとなんだか癒されたような気がした。

「ざ、ザキさん!あああああああ、あありがとうございます!!」

「…べつに」

「お、俺!絶対幸せにしますからっ!!!!」

「はぁっ?!」




病院への道のりで愛を




(お前、足じゃなくて頭捻ったか?!つか俺の台詞だろ…)
(じゃ、じゃあ…俺を幸せにしてください!!)
(…なに当たり前のこと言ってるわけ?)
(!)









えー、友達にザキバキをリクされましたもので。はい。
遅くなりましたね。ごめんなさい。
お題は『病院』でした。(病院行ってないけど)あなたにぴったりよ←←
リクありがとう!

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