短いの(腐)

□たまには優しくさせて
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「あっ、あぁっ…も、ちだ、さ…ひゃぁっ」
「ははっ椿くん、いい声で啼くねぇ」
椿は持田に呼び出され、指示通りに場所移動を繰り返した後にここ―持田の自宅に辿り着いた。
今はご褒美だといわれ、なぜか言われた通りに動いてしまっている。これではご褒美になっていないのではないかと思うかもしれないが持田にはそんなことはどうだってよかった。
「ほら椿くん、優しくしてあげるから」
持田はそう言って椿を抱きしめた。
こんなことを今まで持田にされたことがない。
持田のちょっと違う態度に椿は容易く動揺してしまう。
「持田さん…あの、手、ほどいてください…」
「えー、なんでさ。椿くん、不満?」
そういわれると不満ではないが、如何せん持田は椿の手を縛り目は布で覆ってしまっているから不安なのだ。
そう話すとふーん、と返事をされた。すると数秒後手がフッと軽くなった。
「これで、いいの?」
「…は、い。ありがとうございます」
手が解放されても椿は目隠しを取ろうとはしなかった。
「なんで外さないの?手、自由になったのに」
「えっと、それは…か、勝手にやったら持田さん、怒っちゃうんじゃないかって…」
ぼそぼそと恥ずかしそうに俯きながらいう椿。持田はもう一度抱きしめ直すと軽く啄むようなキスをした。そして首筋に唇を這わせ少しずつ強く吸っていく。刺すような痛みがしたあとにがり、と歯を立てられた。
「椿くん、好きだよ」
「っ…持田さん、どうしてそんなこと言うんですか…い、いつもの、持田さんじゃないみた、い…んっ」
「たまには優しい言葉かけてあげないと、椿くん、逃げちゃうかなって。あ、逃がすつもりは更々無いけど」
黙り込む2人だが椿が先に口を開いた。
「お、俺は、いつもの持田さんでも嫌いになりません…むしろ、この、優しい方が怖いです、俺は普段の持田さんが一番、好きです」そっと、目の布も外され視界が明るくなった。部屋の中は明かりが一切ついておらず、月光が窓から差し込んでいるだけだった。
「椿くん、」
呼ばれて顔を上げると持田の手が伸びてきて頬に添えられた。それをまた上から包むように重ね、指を絡ませる。
そして持田は、また優しく椿に囁くのであった。
「大介、愛してる」

たまには優しくさせて

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