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□マカダミアナッツチョコレート
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「8度7分…」

どうりで昨日から体がだるいと思った。
まさかこの終業式の日に熱を出すなんて、本当最悪。


学校への連絡はお母さんに任せて、わたしは布団にくるまった。
───今日はホワイトデー。友達にお返しを渡すつもりだったのにな。そんなことを考えながら、目を閉じて眠りについた。



どれだけ眠っていたのか。時計に目をやると11時を少し回っていた。───もう学校は終わったのかな。連絡プリントは誰が持ってきてくれるんだろう。
そう思っているとインターホンが鳴った。
それからしばらくしてお母さんの嬉しそうな声が聞こえてきた。


どしどしと階段を上がってくる足音がドア越しに響いてくる。
───どしど、し?

次の瞬間、ノックもせずに部屋に入ってきたのは…幼馴染みの楓だった。


「ちゃんとノックしてよ」
「めんどくせー」
「めんどくさいって、あのね───」
「これ」

楓の雑な入れ方のせいで、しわくちゃになった連絡プリントを目の前に差し出される。


「あー…うん、ありがとう…。というか部活は?」
「今日は休み」

そう言いながら楓は近くにあった椅子を引っ張ってきて、腰をかけた。───おいおい早く帰れよ。
そう言ってやろうと思った瞬間、楓の口が開いた。


「どあほう」
「な…!」
「どあほうが」

何を言い出すかと思えば、一応病人であるわたしにどあほうって。しかも2回。
そりゃ、最後の日に限って熱出すなんて馬鹿だとは思うけど。でも普通は大丈夫?って言葉が口から出てくるんだと思うけど。


「───…のに」
「え、は?」
「緊張してたのは俺だけかよ」
「え、え?」


赤い箱で軽く頭を叩かれる。

「やる」
「これ、は?」
「…お返し」


わたしの頭を叩くのに使った赤い箱は、あたしの大好きなナッツの入ったチョコレート。
まさか───


「バレンタイン、の…お返し?」
「…おー」
「1箱、だけ?」
「うるせー」
「いつからバレンタインあげてると思ってんの。しかもホワイトデーって3倍返しなんだよ」
「知らん」
「知らん、じゃなくてちゃんと今までの分も返してよね」



マカダミアナッツチョコレート
(初めて貰ったお返し。ちゃんとわたしの大好きなもの知っててくれてたんだ)


title >> 揺らぎ
20110314
White day 2011 !!


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