「なあ花道、お前明日どうすんだ」 いつものように練習が終わって部室で着替えていると、先輩がどあほうに話しかけるのが聞こえた。 「ぬ?明日がどうしたんだ、リョーちん」 「だあああ!お前、明日は14日だぞ!ホワイトデーだぞ…!」 「何いいいいいい!」 「うるせー、どあほう 鼓膜が破れる」 「何だとルカワァァァァァ!」 「花道!晴子ちゃんに何渡すのか決めたのかよ…!」 その言葉にハッとしたどあほうの顔はみるみるうちに、へにゃりとした気持ち悪い顔つきになっていく。…何を想像してんだか。 「リョーちんは彩子さんに何を渡すつもりなんだ?」 「真似すんなよな。俺は───」 そう言って先輩は声を潜める。何を言っているのか全くもって聞こえん。 「ふんふん…なるほどその手があったか!」 「だからぜってー真似すんなよ花道!」 「わーってるよ!」 ホワイトデー…お返し…女って、そういうの喜ぶのか? そう思いながらヒートアップしてきた先輩とどあほうの会話を遮断するようにイヤホンを耳に突っこんだ。 |