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□憧れと共に
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昔、死神教科書に載ってた人に一目惚れをしてしまったの。
全てが白くて、私はくぎづけになった覚えがあるワ。

本当に昔の話。

あの時アナタに会うまでそんな昔の事は忘れていたの。










「どうしたんだい?」

「え?」

「ボーッとしていたよ?」

「えぇ、ちょっと昔の事を思い出してネ…。」

「…………。」


葬儀屋はそうアタシに問いかけた後、しばらく何かを思い出すように考え始めた。


「何考えてるの?」

「ん〜、君は小生が死神だってことに気付かなかったよねぇ?」

「ん?えぇ…。」

「教科書とか見てなかったのかい?」

「………。」


アタシは黙り込んでしまった。


アタシだって……教科書くらい見ていたし、読んでもいた。
葬儀屋の存在も知っていたし何よりも『好き』だった。

みんなが言う『伝説の死神』は、近寄りがたくて本当に強いと言っていたワ。

でもアタシは、自分の方が強いと思っていたの。

自分に自信があったワ。

葬儀屋には、好意と共にライバル心もあった。


アタシの方がずっと強いんだからッ!!


なんて……思っていたワ。


だからあの時、アナタがあの『伝説の死神』と知った後、アタシは勝負を挑んだ。


でも……。





「もう終わりかい?」





見事に完敗。


ものの5分で勝負はついたワ。

「とどめをさしなさいヨ!!アタシは負けたんだから!!」




悔しかった……。




自分が惨めになったワ。

あの時の自信が全部壊された気持ちになった。
だからこんな惨めな気持ちにさせられるのなら………殺してほしかった。


でも次の葬儀屋の言葉にアタシは耳を疑った。


「小生は君を殺しはしない……君はまだまだ強くなる。それに小生は君を気に入ってしまったからね〜ぇ」

「え?」

「どうだい?小生と一緒に来ないかい?」

「どういう……意味?」


アタシは葬儀屋の言っている意味がよくわからなかった。


気に入った?
一緒に来る?


アンタは一体アタシをどうしたいの?


「一緒に暮らさないかい?」

「…………は?」


一緒に暮らす?
何で?アタシとアンタが!?

訳わかんないんだけど……;


「アンタ…アタシのこと…好きなの?」


ちょっとした冗談半分でアタシは葬儀屋にそう言ってみた。
でも葬儀屋はアタシの言葉に対して真剣に「好きだよ」と答えた。


それって告白?
告白なの!?
人生初ヨ?


「本当……なの?冗談とか言わないわよ…ネ?」


ライバルだとは思っていても、好意を抱いていた相手にそんな事を言われるだなんて、そう簡単に信じられる訳がない…。


でも……冗談でなければ?

そうやって、アナタはアタシの1番望んでいる言葉を言ってくれる…。


「冗談でこんなことを小生が言うとでも思っているのかい?」


ほら……だからアタシは気持ちの整理もつかないままアナタに溺れてしまうの。


「おや…泣いているのかい?」

「だって……。」


嬉し過ぎるから。
両想いなんて考えた事もなかったのに……。


「本当に…守ってやりたくなるよ、君は……。」


アタシには聞こえなかったけど……葬儀屋は小さな声で言葉を紡ぐ。


アタシが次に顔を上げた時には目の前には葬儀屋の顔があった。

いつもは隠れている目もハッキリと見える。


とても綺麗なエメラルドみたいな目。


一瞬、時が止まったかのような感覚に陥る。


アタシはしばらく葬儀屋から目を反らせなかった。
自然と沈黙になるけれど、先に口を開いたのはやっぱり葬儀屋だった。


「君を…小生が幸せにする。」

「葬儀…屋…。」


せっかく引いた涙がまた出てくる。
止めようもないくらいにどんどん溢れて、まるでアタシの心と同じ。


気持ちがいっぱいなの。


ずっとこの人と一緒にいたい……。
そう心から想えた。











あれから今は一緒にいるけれど……本当に幸せ。


「今のグレルはどんな極上の笑いよりも最高にいいね〜ぇ」

「どうして?」

「可愛い笑顔をしているよ〜」

「あら、本当?可愛いなんて嬉しいけど照れるわネ♪」

「ヒッヒッヒ、小生は今本当に幸せだよ〜」

「んふッ♪アタシも幸せDEATH☆」



こうやって、二人でいつまでも…永遠に幸せだねって笑っていたい。



ねぇ、葬儀屋?

アタシ今本当に幸せなの……。



憧れだったアナタと……いつまでも一緒にいられるように……。



愛してるわ。












あとがき


とりあえず、二作目DEATH☆
またもやグダグタ小説;

こんなものでも見てくれた方は本当に感謝します(>_<)

グレルは実は葬儀屋の事をライバル意識してたらいいな〜なんてww

ただの自己満( ̄▽ ̄;)
 

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