企画モノなど
□ゾロ誕2012〜狼と虎の旅路シリーズ〜
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「誕生日だァ?今日ォ〜?えっ、お前の?!」
――自分でもずいぶん大袈裟だと思う声が出ちまったもんだが。
無表情なままコクンと頷き返すこのガラの悪ィ虎野郎にゃ、誕生日うんぬんなんてェ概念がそもそも不似合いだと思えてならなかったのだ。
「何お前、えーっと…さすらいの虎だろ?…血統書付きでもあるめェし。誕生日なんてわかってんだ」
「………ああ」
「ふうー…ん、そう。あー…まァいいけど……そんじゃ、今夜はデエトすっか。…夜景でも見に行く?」
「夜景って…人里に近づくってことかよ。……危ねェだろ」
「へっ?お前まさか人間が恐ェの?」
「恐かねェよ!!けどあいつら…銃だとか麻酔だとかすぐ卑怯なモン使いやがって、まともに勝負しねェじゃねーか。だから…………苦手だ」
「え。いやいや虎のお前とまともに勝負って…」
そんなモンできる人間いるワケねーじゃん、と言いかけたけど言葉にならなかった。―――何その真っすぐな目。キラキラしちゃってまあ。コイツいつも「おれは世界最強だ」くれェのこと言ってるくせに、ホントにてめェのことわかってんだかわかってねェんだか…
(いやまァ、そんなとこ、めちゃくちゃくちゃくちゃ可愛いんだけど……)
「フッ…、ゾロ、まったくよォ〜、敵わねェよなァお前には…」
「は?!
当たり前だろ、てめェみてえなヘボ狼がおれに敵うか」
「あ゙ァァ?!カッッチィーーンッ。何言ってんだてめ、そおゆう話してんじゃねェよ空気読めクソヤロー!おれが本気出しゃお前なんざ一撃で秒殺なんだよっ」
「はあ?!!別におれが言い出したワケじゃねェ。ほんのついさっき!てめェのほうから負けを認めてきたんだろうが」
「ちげーーっ!!!イラつく野郎だな、こーゆー『敵わねェ』はそーゆー意味じゃねえっつうんだよ」
「んじゃどーゆーイミだ!男のくせにぐだぐだ言いやがって」
「どおゆう意味かって?!だあァ〜〜ッもう!」
「ん?!」
――胸ぐら掴んで引き寄せて、クソ虎野郎に思いっきり濃いめのキスをする。
「ンッ…んん――?!!」
「…ふ……」
「んんんー……――ッ」
「プハッ…!!どおだわかったか?」
「Σわかるか!/////」
「………。あー、要するにだな、『お前って奴ァまったくもって可愛いなァ、誕生日おめでとう、てめェみてえなヤロウが生まれてくれておれァホントにホントにこの世の全てに感謝するぜ!』…とまあ、ざっとそんな意味だ」
「………はあ???」
「………」
「…………」
「…………?」
「……………。」
「なっ、なんだよゾロてめ黙りこむなよ」
「…いや。
…………ありがとう」
「え゙ェっ?!…ああ…、お、おう////」
「―――夜景だとかなんだとか…何も要らねェよ。どっか……のんびりしようぜ」
「あ?ああ、ネッチョリしよう!ぜひっ」
「ノ・ン・ビ・リ・だ!」
「…んー……じゃ、どっかテキトウな洞穴ででも…―――そうだな、とりあえずあれか、うめェモンたらふく食わすよ」
「……ああ」
「最初の記念日だな」
「………ああ」
「…ゾロ」
「あ?」
「ゾロ、……愛してるよ」
「あ゙?!//////
…………ああ…////」
顔を背けたゾロの耳がほんの少し朱く染まる。
それを見ていたらおれの脳内はすでに夜景どころではなく煌めいて。
はやる心を抑えながらそっと、その饒舌な耳元にそっとそっと、甘く小さく口づけた―――
HappyBirthday……〜v
(助丸★epoque2012/11/11DLF画)