2年後からの海

□秘密なら…
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「ああ敵わねェだろう、今はまだな!だけどお前は…無理矢理そんなことしねェだろ。お前はそういう奴じゃない」

「………」

(ああロロノア、神だか運命だか知らないが、その大きな存在はなんと残酷なことだろう。お前にハッキリとフラれながら、今日おれは――)

「前よりもっと、お前のことを好きになった…」



(……………ん?!)

「おいロロノア…っ、寝てんのかお前っっ」
 いつも冷静なミホークも、さすがに目が飛び出そうな勢いで驚いた。まさかこんなシチュエーションで突然寝られてしまうとは。
 そしてどこからか、金髪小僧の高笑いが聞こえた気がした。


(『あァ?!誰が笑うかコノヤロー!クソ七武海、てめえゾロから離れろっ…!』

 ―――ああ、いや、

 これは謎の天の声w)


 ミホークは小さくため息をついた。
「バカが…ホンットに…おれを何だと思っているんだ」

 それから軽々とゾロを抱き上げ、いわゆるお姫様抱っこで寝室に連れていく。
 よく眠って、そのままおれの言葉など忘れてしまえばいい――その時点ではそう思っていた。


 しかしその体をベッドに降ろすと、その途端、鼻先に感じたゾロの香りがなんとも言えない目眩を誘い、あっという間にミホークの精神をおかしくした。


(ああ…ああ―――離したくない…)

 そんな未練がましい自分自身を心のどこかでは嘲笑いながらも、沸き起こる猛烈な情にミホークはみるみる自制心を奪われていくのを感じていた。

 そしてもはやその欲望に抵抗するつもりもなかった。
 せっかくゾロが「お前はそんな奴じゃない」となぜか買いかぶってくれたものだが、自分はその信頼に応える筋合いもないと、乱暴な感情さえも激しく脳を支配し始める。


 抑え切れずに切ない呼吸を漏らすミホークは、その無防備に眠る顔に唇を寄せ、遠慮のないキスをした。舌を入れ、押し開き、その歯並びまでを確かめてゆく。

「………ん…っ」


(悪いな金髪の小僧…おれも…海賊なもんでな…)


 ミホークが頭で何かを考えたのはそこまでだった。

 本来どうすべきかとかゾロが目覚めたらどう言うのかとか、そんなことはもう考えられなかった。


 ただひたすらしたいままに…手の平でその愛しい頬を撫でながらゾロに覆いかぶさると、ズシリとした自らの体重で、ゆっくりと少しずつ…その秘密のベッドを軋ませていった―――

END
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