前半の海


□324話のあのコマ
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「オイゾロ!!ロビンちゃんは!?船にいねェぞ!?」
「ああいねェよ。さっき…チョッパーと出てった」
「何てこった。じゃてめェだけか船にいんのは!何てつまらねェ空間…!!」
「同感だ」

――――なぁーんてな。クソ、二人きりで浮かれたんだっつーの。構ってほしいんだっつーの。なのに。
「ソッコー、マジ寝かよクソ剣士」

 一度は出かけたふりをしながらすぐに戻ったおれは、しゃがみ込んで奴の寝顔を覗き込んだ。

 唾を飲む。そのままキスしそうになった――――が、突然ジロリとその目が開いた。
「わ、起きてたのか」
「んー…けど寝る。………“つまらねェ空間”なんだろっ」
ふてくされた顔をしてボソッとゾロがそう言うので、おれは思わずニヘラ〜と鼻の穴がふくらんじまう。
「ゾロ〜〜〜ッ」
「わっ。…ってェ〜だろ!いきなり乗ってくんな!!」
「だって今よ〜。お前よ〜。めちゃめちゃ可愛い顔したぞ」
「ざけんな。てめェの言ってることはわかんね!買い物行くんだろ?早く行けよ」
「んー…も少し。もうちょっとだけこのままこうしてっから行く」

 おれはゾロの胸に頬を当てて両手を腰に回した。
「ゾロ…好きだ」
「いきなり何言ってんだ…バカ」

体温が気持ちいい。
ゾロすきだ。

ひどく幸せ気分。
知ってんだおれ。いつもなんだかんだ言って、突き放したりしねえ。
今もジッと固まって真っ赤な顔してんだろ。鼓動が教えてくれる。

可愛い―――可愛いゾロ。
「好きだ」
「もっ…ヤメロ。痒い!」
「ハハッ」

 おれは深呼吸してゾロの匂いをかぐ。
(すきだ。すきだすきだゾロ!)
 この先なにがあってもそれだけは変わらないだろう。

「なあ〜ゾロ、やりたくなってきたァ」
「アホ!行ってこいよ、買い物っ」
「ん〜…じゃあ、今夜な」
「わァ〜かったよっ!………あ」
「♪」
「あ、いや今のは別にっ…勢いでっ…」
「男に二言はねーだろ」
「うっ…いや待てコックッ…」
「待たないね!行ってきま〜す♪」

END

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