前半の海


□迷子に欲情!
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 夕メシの席に奴が来なかった。
 チョッパーが呼んでこようかと言ったが、まぁ腹が減りゃ起きてくるだろうとおれは言い、その場はいったんおさまった。

だが………
「いねェ」
なんだ?あいつ。船にいねェぞ?!

 今日はフランキーが船の点検をしたい箇所があると言うので陸に寄せての停泊と決まった。
 そりゃ昼間は皆それぞれ買い物に行ったり散歩したりもした。

 そこで迂闊だった。あのクソ迷子野郎を一人で野放しにしてしまっていたとはっ!

「お〜いサンジ〜」
チョッパーが叫びながら駆け寄ってきた。
「大変だぞ〜っゾロがどこにもいねェ!」
「ああ…そのようだな」
「また船に戻れなかったんだな。今頃どんなところで何やってんだろ…。ゾロが今日もどんだけダメなのか想像すると、おれハラハラするよ」

…ひどい言われようだがそのとおりだ。

「ああ…おれちょっと、そのへん見てくるわ」
「あっ!おれも行くよ。近づけたら、きっと匂いでわかるからっ」
「…。そっか、悪いな」


 そうしてチョッパーと歩くこと数十分…

「クソッ…参ったな、どこ行ったんだよあのマリモ」
「なァ…“海賊狩りのゾロ”を見なかったか?って、町の人に聞いちゃダメかな」
「あ?まずいだろそれは…騒ぎになったら今夜ここにいられなくなるからめんどくせェ」
「そっかあ………アレ?」
「どした?」
「ゾロの匂いだ。いるよ多分。こっち!」

 人の気配などない海岸近くの草むら。少し洞穴のように窪んだ場所で奴はぶっ倒れて寝ていた。
 チョッパーがいなければ、いや、いてもこの月の光がなかったら、おれには奴の姿が見つけられなかっただろう。

 トコトコと近づいていったチョッパーが、おれを振り返りながら言う。
「怪我とかはしてない!熱も普通だ。寝てるだけだなーこいつ」
「そっか…」
「じゃあおれは先に戻ってるよ。みんなが心配してたら話しておくから。二人は…まあゆっくり帰ってこい」

 おれは面食らった。まさかこいつ――
「なあチョッパー、お前、気ィ使ってるつもりか?」
「あ…。……うん」
可愛いらしい仕草でチョッパーが頷いた。
「あー…ありがとよ。ホントに…今日のお前、何から何まで役に立つな、ドクター」
「え〜っ…そっ、そんなっ、嬉しくないぞ〜コノヤローめ〜♪♪」

 とても嬉しそうに、踊りながらチョッパーは来た道を戻って行った。


「……さて。一体なんなんだろうね、こいつは」
ペシペシと、軽く頬を叩いてみる。

「ん…。…お、朝か?」
「こんなところで呑気に朝迎えられてたまるかっ!」
「……あれ?コック、ここどこだ?」
「こっちが聞きてーよ!」

「あ?えーっと…あー…船に戻れなくなったんでとにかく海岸沿い海岸沿いと思ってこのへんを歩いていたら雨が降ってきたんだ。それでこの場所を見つけて雨宿りしていたら…………寝た」

はあーっ。ため息が出る。

「まァ…もういいや。せっかく邪魔も入らないんで、やろうぜ」
「はっ?いやおかしい、展開おかしい」
「おかしくねえ!ゾロ、今のおれはなー、…やりたいだけの男だ」
「ひでえ宣言だなっ」
「うるせーよ」

 キスをしながら奴の腰に触れて、そのままヘソの下あたりからその部分へと手を突っ込んだ。
「う…っ…!んなっ、いきなりっ…」

 奴のそれを指で挟んで擦る。

 触り方も、その動かす速度も力のかけ方も…どうするのがこいつは好きかなんて、全部知ってる。

「くっ…。ん、ん、…」
「……声、抑えてないでもっと出せばいいのに」

 ゾロは、いつもだいたい最初は恥ずかしそうに力んでるんだ。まあ…こいつがその気になる前におれが強引におっぱじめちまうことが多いからな。
 あれ…そういや、こいつのほうが先にノッてることなんてあるっけ…?
 …稀にあるな。あれはあれで、おれとしては非常に気分のいい状態だ。

 頭の隅でちょっとそんなことを考えながらゾロを全裸にして愛撫を続けていると、視界の端で何かが揺れて、おれは面白いものに気がついた。

 忘れ物なのか元々ゴミとして放置されたのか…。入ってきた時は気にも留めなかったが、縁のサビた古い姿見がポツンと立てかけてあるのだ。

 おれは少し位置を変えながらゾロを抱え直した。奴の背中をおれの腹につけるように抱き寄せてから、おれの足で奴の両足を抑えつけ、思いっきり――開脚させた。
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