前半の海


□外伝〜赤髪海賊団
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「お頭…結局鷹の目は、何しに来たんだ?」
 少なからず不満そうな顔でベン・ベックマンが言う。

「んー…」
赤髪の船長は面白そうに笑う。
「一番は、ルフィの情報を持ってきてくれた。それ以外は〜…変態丸出しで、アホな話だけをして帰っていったなァ、あっはっはっ…」

(いや笑えねーぞ)
ベンは思った。

「お頭ァ…その変態丸出しの奴に、妙な気ィ持たれてんじゃねーだろうな?」
「はァ?!……ないない。お前も知ってんだろ?あいつ若ェのが好きなんだからっ…ククッ、今度のは10代のガキらしいぜ…てめェの歳かんがえろってんだよ全く」

 よく笑うシャンクスの少年のような横顔に、思わずベンは目を細める。

「あー…なんつってたかな……ロロノア?鷹の目が言うには、とんでもないべっぴんサン、だそうだ」
「……」
「んー…おれが先に味見して自慢してやろっかな…そしたら無表情のあいつもさすがに“鳩の目”みてェな面するかな、プププ…」
「お頭っ…!」

 背後からベンが、何かを遮るように強くシャンクスを抱きしめた。まるでそうすることが、口を塞ぐ行為であるかのように。

「ベン…?」
「冗談でもっ、…そういうのはあんまり…聞きたくねェ」
「……?」
「心配なんだお頭…アンタはなんか…そうやって奔放なことばっか言ってるからそのうちに…おれの知らないところでふっと消えちまいそうでっ…」

「消える…?」
「ああ―――」

 シャンクスは空を見て、少しだけ考えてから言った。
「…海賊ってェのは、そーゆーもんなんじゃねーのか?」

 ベンは何も答えなかったが、抱き締める腕にいっそうの力を込めた。

 それは身動きできないほどの強さだったが、シャンクスは出来るだけ顔をベンのほうに向けると、その真剣な顔で俯く男の頬を右の手で撫でて小さく笑った。


「………バカ。…ベン、お前とは…死ぬ時だって一緒だろうがよ…」


END



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『海賊風味』のみイたん様より綺麗なイラスト頂いてしまいました(>_<)ハワワ
ベンシャン描いて…というワガママな呟きを本当に聞いて頂けるなんて!!
大感謝です。ありがとうございました!!!
(2011.10.05)


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