前半の海


□イケナイ悪戯
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 ジムの天井には、ロープなどを引っ掛けて吊るせるような形をした頑丈な留め具がついている。
 …いや、そんなもったいぶった言い草もあったもんじゃねェんだ。

 それはおれが、そんな悪戯な気分の時にゾロを縛り上げるために自分で設置したものだ。
 他のクルーには気付かれていない。そりゃ、よっぽどジロジロ見たとしたら「一体なんだろう」と思うところかもしれないが、誰もこの室内なんかじっくり見回したりしないんだ。


 ―――で、両手首をロープで縛って全裸で吊るし上げた時のゾロのこのたまんねェ色気ときたらどうだ。

 そんなおれは多少変態なんじゃないかという思いも我ながら否めないものがあるが、おれは正直、「ゾロが恥ずかしさを耐えている姿」というものにひどく興奮する。
 真っ赤になって唇を噛み、体を震わせるこの姿…本当にそそりやがる。

「……っ…」

 おれは目の前のゾロの脇腹を手の平でスッと撫でる。

「…あ……はっ…」

 ビクッと反応して腰を小さくくねらせるゾロ。

「ゾロ…すげェ…お前の、まだ触ってねェのに今にもイキそう…」

「……!」

 そんなことを言われた途端に、そこをますます屹立させていくゾロが愛しい。
 おれはわざと少し意地の悪い笑いを浮かべながらその場に座り、持参していたワインを口に含んだ。


「――!…なっ…コックおまっ…なに、座って、んだよ…っ」

「別にィ。ちょっと観賞」

「やっ…いやだっ……おろ、せ…」

「ふん…そもそも大して抵抗もしないで縛られちゃったく・せ・に」

「…そんなことっ…それは、お前がっ」

「あーハイハイ、なんでもいいぜ、そこでおれのせいにしてろよ。てめェが何言ったって、眺めがいいことには変わりねェからなァ…ヘヘッ」

「……っ…」

 ゾロの体の中心、今にも泣き出しそうに張り詰めたそれが、奴にとっては残酷なくらい全開で明かりに曝されている。そこをおれに見られたくないのか、いくらか体を横に向けようと力んでいる。どうやったって隠れやしないのに。

「…あ、コック…も、もう……」

 切なげなその声色が、まるでおれの背中を直接くすぐりながら上ってくるような感覚がして、おれはゾクゾクと高ぶった。
 こいつ…日頃やらし〜ことなんか全然考えてなさそうな顔してるくせに、なんで天然でこんなにエロいのか。
 いつでも何度でもおれを狂わせる。
 奴も男だっつーのに、こんだけオスの本能呼び覚ますたァ全くどういう了見だ?!

 一人でそんなことを考えながら、おれは今日のために用意しておいた玩具をポケットから取り出してみる。

「…コック?……なんだよそれ…」

 あからさまにギョッとした目をしてゾロの表情が強張る。
 どぎつい紫色をしたそれは、丸っこい形が数珠繋がりのようになっていると言うか…少し大きめの芋虫、みたいな格好をしていて妙にグロテスクでエロい。

「あー…い〜い顔すんなァゾロ君。普段お前の顔にそんなふうに恐怖が浮かぶことなんて滅多ないもんなァ」

「オイッ質問に答えろよ…それはなんだ、って聞いてるんだ…!」

「んー…ローター、っていうのか?おれもこーゆーのはあんまり知らねんだよ。…ほれ」

 おれはスイッチを入れた状態で、そのぷにぷにした感触の物体を無防備なゾロの乳首に当てた。

「…あ…っ――!…っん…」

 おっ。いい反応。

「なっ…何っ……コックなんでお前はっ…たまにこーゆー変なもん、持ってんだよ…て、手錠、とか…猫の耳…とかっ」

「は?…あー、そういうのもしてほしかった?」

「違っ……う、…んん…」

「買い出しのついでに見かけることがあんだよ。お前に試してェなってのを見つけると実はチョコチョコ買ってんだ」

「た、試したい、…って…」

「だってお前…おれがどんなことしてもエロ汁垂らしてヒィヒィ悦ぶからなァ…いろいろ、エスカレートしたくなるじゃん」

 耳元で言いながら、おれはローターを奴の玉に当てた。

「…っ……はっ…ああっ」

「どう?この震動…どんな感じ?」

「…ん………やっ、いやだ…」

「ふぅーん…」

 いったんローターのスイッチを切ってゾロの体から離す。

「…っ、ハァッ、ハァッ……」

 奴は何かから解放された安堵を少しだけ滲ませながら肩で息をしている。だがそれもつかの間、おれがその震える唇にローターをあてがうと、またハッとして眉間にシワを寄せた。

「ゾロ。…これ舐めろ」

「………」

「舐めろよ」

 一回目は戸惑ってみせたが、おれが再びそう言うと奴はそっと舌先を伸ばし、口の中へその淫靡なオモチャを迎え入れた。
 そんなゾロの顔を見ながら、おれはもう片方の手で乳首をクニュクニュと弄んだ。

「ん…んう……」
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